奈良市保健所、犬猫の移動式殺処分解消へ 県動物愛護センターへの委託料を新年度予算案に計上

2013年2月22日 浅野善一
奈良市保健所の車庫に待機している移動式処分装置を積んだトラック=2011年4月、同市三条本町(ナンバーは消しています)

 奈良県奈良市は、市保健所に収容した犬猫の殺処分を、県桜井保健所動物愛護センターに委託する方針を決め、委託料を市の2013年度予算案に計上した。市が採用してきた移動式殺処分は解消される。トラックに積んだ処分装置の中で移動しながら行う方法に対しては、動物愛護に反すると批判の声が寄せられるなどしていた。

 奈良市保健所生活衛生課によると、移動式処分装置を導入したのは2008年度。それまで殺処分と焼却処分を委託してきた橿原市の県桜井保健所橿原動物指導管理事務所が宇陀市の県営うだ・アニマルパークに動物愛護センターとして移転した際、委託を継続できなかった。中核市として保健所業務を自前で行う奈良市の犬猫の処分受け入れを、宇陀市の住民が拒んだためという。

 奈良市保健所は11年4月、同市西木辻町から現在の三条本町に新築移転したが、近隣住民が施設内での殺処分に抵抗したため、移動式殺処分は継続された。一方、焼却処分については、動物の焼却もしている橿原市営斎場に委託してきた。

 あらためて県の動物愛護センターに委託することになったのは、橿原市の市営施設に他市の犬猫の焼却処分をいつまでも受け入れてもらうのは困難との判断から。また、移動式殺処分に対しても、批判の電子メールが寄せられたり、動物愛護団体のホームページに批判記事が掲載されるなどしていたという。

 奈良市は、動物愛護センターへの犬猫の持ち込みを宇陀市に容認してもらうため、県や宇陀市が行うアニマルパークの駐車場整備や周辺道路整備のための費用の一部を負担する。2013年度は2000万円を計上した。5年間で計約1億円を宇陀市に支払う。奈良市はこの歳出を会計区分上、「負担金」とした。県に支払う犬猫処分の委託料は720万円を計上した。

 奈良市保健所の2012年度の犬猫殺処分数は400匹だった。

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