奈良県:奈良市西ふれあい広場住民訴訟 仲川市長、問題解明に「全面的協力」表明

2013年7月22日 浅野善一

 奈良市が公園建設を目的に市土地開発公社(2012年度末解散)に用地を先行取得させた西ふれあい広場計画をめぐる問題で市民が起こした住民訴訟に対し、仲川元庸市長は22日までに、裁判による問題解明に「行政として全面的に協力したい」と表明した。

 21日の市長選を前に今月6日、市内の県文化会館で行われた市民団体「政策研究ネットワークなら・未来」主催の立候補予定者公開討論会で、別の立候補予定者から仲川市長に対し、土地開発公社の問題について質問があり、それに答えた。

 質問は、「一部の人物がぼろもうけをして、その付けを市民が払わなければならない。徹底的に責任を追及し、少しでも金を回収すべきだが、住民が訴訟を起こさないと裁判にならない。現職市長としてどのように考えているのか」というもので、仲川市長は「公社の問題は市の歴史に残る失政。市土地開発公社経営検討委員会で調査を行ったが、行政の調査では限界がある。司法で徹底的に議論していただき、(原因を)オープンにしてもらえれば」とした。仲川市長は同選挙で再選された。

 西ふれあい広場計画では、公社が1994年から2000年にかけ、山林約4万8000平方メートルを金融機関から約18億円を借りて取得したが、公園建設には至らなかった。市は昨年10月、公社解散に当たり、利息を合わせた借金約21億円を肩代わりして返済した。訴訟は先月21日、市市民オンブズマンの桐山幸矩代表幹事らが起こした。訴えでは、当時の大川靖則元市長らは、必要性のない土地を高額で公社に取得させた不法行為によって市に損害を与えたとして、市に対し、大川元市長らに損害賠償請求するよう求めている。

 公社の塩漬け土地問題をめぐっては、経営検討委員会が11年3月に公表した報告書は、必要性の低い土地を高額で買い取っていたことなどを指摘し、関与した当時の市上層部や市議らの「政治的責任は免れない」としたものの、「法的責任を問うことは時間の経過などから困難」とした。

 市は、塩漬け土地とそれに伴う借金を抱える公社を解散させるため、同借金を肩代わりして一括返済、あらためて約173億円の借金をした。本年度から毎年、約10億円ずつ20年間にわたって返済していくが、市民サービスの低下や財政悪化が懸念されている。

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