奈良県:奈良市情報公開条例「請求権の乱用禁止」明記1年、適用なし

2013年9月4日 浅野善一
奈良市の2012年度の情報公開申請件数と開示・不開示などの内訳
区分 全部開示 部分開示 不開示 存否の回答拒否 文書不存在 却下 取下げ等 合計
開示請求 69 72 3 0 6 0 12 162
任意開示申し出 6 13 0 0 3 0 6 28
合計 75 85 3 0 9 0 18 190

 奈良市は4日までに、情報公開制度の2012年度の運用状況を発表した。開示申請は190件あった。市は情報公開条例を改正し、県内では初めて請求権の乱用禁止を明記、同年4月に施行したが、適用された申請はなかった。

 開示申請の内訳は、1998年の条例施行後に作成された行政文書に対する開示請求が162件、条例施行以前に作成された行政文書に対する任意開示申し出が28件。また、開示・不開示などの決定内容別では、全部開示75件、部分開示85件、不開示3件、文書不存在9件、申請取り下げなど18件だった。前年度との比較では235件少なかった。

 市の条例は何人にも開示請求権を認めており、改正では「開示を請求する権利を乱用してはならない」「権利の乱用に当たる請求があったと認めるときは、当該請求を拒否することができる」などの条文を追加した。市は、開示申請が「特定の課に対し、短期間に集中して大量の請求を行う」「同一内容の請求を繰り返す」などに当たると判断した場合、不開示にできる。市は権利の乱用を明記する理由として、実際にこうした請求があり、通常の業務に著しく支障を来した例があったことを挙げた。

 市文書法制課によると、2012年度の不開示3件の中に、権利の乱用を理由にしたものはなかったという。

 権利の乱用禁止を明記する条例改正を行った自治体は全国に複数あるが、住民の間には請求の制限につながらないかと懸念する声もある。

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