2013年11月6日 浅野詠子

東京都小平市の国立精神科病院、医療観察法病棟入院患者の個人情報を紛失

 東京都小平市小川東町の国立精神・神経医療研究センター病院の職員が、同病院の心神喪失者等医療観察法専用の精神科病棟に入院中の患者の氏名と診断名など個人情報が記された書類を紛失していたことが、記者が開示請求した同病棟外部評価会議の記録などから分かった。

 紛失の事故があったのは昨年12月11日。紛失場所は都内の精神科病院で、患者の同病院での「模擬受診」と呼ばれる外出訓練中に、付き添っていた職員が落としたらしい。被害に遭った患者は1人と見られる。

 紛失したのは外泊計画シートと外泊旅程表で、患者の氏名、診断名、生年月日などが記載されていた。

病棟は、精神病が悪化して幻覚や幻聴に支配されるなどして行動をコントロールできず、傷害、傷害致死、放火など他害行為に及び、不起訴処分となったり、無罪判決や執行猶予付き判決を受けた人を強制的に治療する。全国の国立病院機構、府県立病院に30病棟(計約800床)あり、近畿では大和郡山市のやまと精神医療センター、大阪府立精神医療センター、滋賀県立精神医療センターなどが稼働している。

 国立精神・神経医療研究センター病院の医療観察法病棟は66床で、半数は身体合併症をもつ患者が入院。外泊訓練は、容態が改善し釈放が近い患者を対象に行う。退院後は主に、帰住先の近くにある精神科病院に最長5年間の強制通院をさせ、これに備えた受診訓練を行っている。

 制度は、国内の病棟整備や通院体制が不十分なまま運用され、東北の専用病棟に入院中の患者が帰住予定地の大阪府内の指定通院医療機関まで遠出し、「模擬受診」の訓練を受けたケースがある。入院患者1人当たり年間2200万円をかけた高額医療で、患者が病院内の散歩をするだけで職員2人が付き添うなど、公費の無駄と見られる支出もある。

 患者の大半が初犯。被害者の多くは同居する家族。放火のほとんどが自宅。精神障害者の犯罪率や再犯率は健常者より低いというデータがある。強制入院の命令は、精神鑑定をもとに、治療に反応する可能性の高い統合失調症患者らを選別して行っている。患者を一人の障害者として見た場合、医療の選択やセカンドオピニオンなどの権利は保障されていない。

 国立精神・神経医療研究センター病院の総務課は「紛失した書類が見つかったどうかは言えない。紛失した職員が看護師かどうかも言えない」と話している。

 その後、同病院総務課から次の事実を確認した。

 紛失した外泊計画シートと外泊行程表は見つかっていない。被害を受けた患者は1人で、病院側が謝罪した。問題が発生した月、監督官庁である厚生労働省関東信越厚生局に報告した。再発防止策として、外泊・外出シートは持参せず、患者の氏名を記入しないなどの措置を講じた。個人情報を紛失した職員の職種、厳重注意などの指導を行ったかどうかは公表しない。(2013年11月7日追加)

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