2014年3月13日 浅野善一

奈良県:「パートは無職」、交通反則切符職業欄の記載 警察に根拠の規定なし

 記者が昨年8月、奈良市内で車を運転中、一時停止の規制標識を見落とし、奈良署の交通違反取り締まりを受けた際、職業を尋ねられ、パートと申告すると、署員は「パートは無職とする」と告知した。働いているのに無職とはどういうことなのか。

 取り締まりを受けたのは8月2日午後5時ごろ。場所は同市尼辻北町の国道308号交差点。待機していた同署員に呼び止められた。

 署員は「パートは無職とすることになっている」といった趣旨のことを告げて、了解を求めた。一つの職場で継続して働いているのに無職というのはどうにも納得がいかず、拒んだ。署員は渋々、勤務先の会社名を聞き、控えた。

 手渡された交通反則告知書(交通反則切符と呼ばれる水色用紙の文書)の職業欄には「パート従業員」と記載され、勤務先の欄には申告した会社名が記載されていた。

 パートを無職とする根拠について、ことし2月10日、奈良県警に開示請求した。行政文書の名称を「交通反則切符の職業欄にパート勤務の場合、無職と記載する根拠となる規定」として請求したが、不存在だった。

 県警県民サービス課の不開示決定通知には「主管課である交通指導課をはじめ、各種文書を作成する際に職業の記載方法について指示、教養等を行う可能性のある所属に聞き取りを行ったが、いずれも該当する行政文書は保有していなかった」とした。

 あらためて県警交通指導課に対し、署員が「パートは無職とする」と判断した根拠は何であったのか、問い合わせた。同課が署員に確認したところ、「10年前、警察官になったときに現場で教えられたような記憶がある」と説明したという。同課は、職業の記載は人定確認のためであることから、少なくとも現在の警察官に対する指導では、パートであれば小売業など具体的に業種を聞くよう指示しているとした。

 また、交通反則切符を作成するときの手本を示した執務資料は、自動車の運転に従事する者であれば自動車運転者などと例示しているが、パートを無職とするというような説明はないという。警察白書などの統計でも、事件や事故の当事者の職業についてパートを無職でくくることはないとした。

 パートは厳密に言えば雇用形態であって職業ではないかもしれない。だからといって無職としてよいという理屈にはならない。職業名として適切でないのであれば、適切に答えられる聞き方を警察官がすべきである。正社員でなければ正規の職業として認められないという考え方がどこかにあるのではないか。

 同課は、当該の署員に指導したとしたが、個人情報を記載する公文書作成に関わることであり、徹底を求めたい。

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