2014年5月12日 浅野善一

奈良県:奈良市の旧都跡村役場取り壊し 建築家協会支部が保存活用求め、市長に要望書

公民館分館として使われていた旧都跡村役場庁舎=2014年4月16日、奈良市四条大路5丁目

 昭和初期に建てられ、近代和風建築として貴重とされる、奈良市の旧都跡村役場(同市四条大路5丁目)がこの夏にも取り壊され、地域ふれあい会館に建て替えられようとしている問題で、日本建築家協会近畿支部奈良地域会(森田昌司会長)は12日までに、仲川元庸市長に対し、同建物を修理改修し、活用するよう求める要望書を提出した。

 同協会は、建築家の職能理念に基づき、建築文化の創造・発展への貢献を目的とする職能団体で、歴史的建築物の保存や活用に関わる問題にも取り組んでいるという。

 市は建て替えの理由について、「雨漏りや外壁の劣化が進み、耐震性の問題からも利用者の安全性を確保できない状態になった」としている。

 同奈良地域会は現地を確認。要望書は「部分的修理で克服できる問題であり、耐震性向上の問題も近年の建築の学術的進展で比較的容易に補強が可能と推察する。奈良の多くの古社寺は保存改修を繰り返し行い今日に残っている」と指摘、「ふれあい会館を新たに建設せずに、この建物を保存し改修して容易にその目的をかなえることができる」と訴えている。

 また、保存活用の意義について「(向かいにある)都跡小学校の子供たちにとって、郷土の歴史の実物を毎日、直接見ることができ、街への愛情の育みにどれだけ寄与するか計り知れない」と述べ、職能団体として協力できることはしたいと表明している。

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