2014年5月24日 浅野善一

奈良県)奈良・旧都跡村役場保存修理、市の試算1億3000万 建て替えの1.5倍、取り壊し理由の一つに

 奈良市が、取り壊しを予定している旧都跡村役場(同市四条大路5丁目)を保存した場合の修理費用について、1億3000万円と試算していたことが、市への取材で分かった。地域ふれあい会館に建て替えた場合に比べ1.5倍高いという。財政状況が厳しい市は、これを建て替えの理由の一つにしている。

 地域ふれあい会館への建て替え費用は8300万円。計画では6月中に建設工事の入札を公告、8月に取り壊しに着手し、11月に着工、来年4月の完成を目指している。建物は軽量鉄骨造り平屋建てで、広さ280平方メートル。

 市地域活動推進課によると、試算は昨年10月、予算要求調書を作成する前の段階で、市営繕課が保存と建て替えを比較検討するため実施した。

 旧都跡村役場は旧庁舎と旧議事堂の二つの建物から成る。保存した場合、雨漏りや外壁の劣化に対する修理、耐震工事などが必要。また、旧議事堂の屋根の一部が道路に張り出しているほか、旧庁舎の一部も道路拡幅計画の新しい境界線に掛かっているため、両建物の曳(ひ)き家工事が必要という。

 ただ、試算額は現状の建物を前提に修理した場合のもので、文化財としての保存となると使用する部材も選ばなければならないとする。また、会議室の広さの確保や事務室の設置など、地域ふれあい会館に対し地元が求めている点を満たす必要もあり、さらに費用は増すとする。

 旧都跡村役場に対しては、近代和風建築として歴史遺産、文化財としての評価がある。日本建築家協会近畿支部奈良地域会は、保存を求める要望書を提出しており、費用の点について「部分的修理で克服できる問題であり、耐震性向上の問題も近年の建築の学術的進展で比較的容易に補強が可能と推察する」としている。

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