2014年7月12日 浅野善一

奈良県)奈良市・西ふれあい広場住民監査請求の合議不調 未公表の委員意見、確認不能 内容残しておらず

 奈良市土地開発公社(2013年3月解散)の西ふれあい広場用地先行取得問題をめぐる住民監査請求に対し、市監査委員は昨年5月、「合議に至らず監査結果を出せない」との結果を公表した際、審議の過程で委員からどのような意見が出ていたのか明らかにしなかったが、その審議内容を残してもいなかったことが、市監査委員事務局への取材で12日までに分かった。

 地方自治法や市監査委員条例、関連規程に、審議内容の記録保存や合議不調の場合の審議内容公表の規定はないが、これでは住民はどのような経緯で合議に至らなかったのか全く知ることができない。全国では合議不調であっても監査委員の意見を公表する自治体は珍しくない。監査委員の説明責任が問われる。

 地方自治法は住民監査請求に基づく監査や勧告についての決定は、監査委員の合議によるとしている。このため、請求を認めるにしても棄却するにしても、委員の意見一致が前提。

 同住民監査請求は、市の西ふれあい広場計画で市土地開発公社に不必要な土地を高額で先行取得させたのは違法として、当時の大川靖則・元市長らに損害賠償請求するよう、市に勧告することを求めたもの。これに対し、公認会計士、弁護士、市議の4人から成る市監査委員は「事実関係に基づき審議した結果、合議に至らなかったため、監査の結果を出すことができない」と判断、請求者に通知、公表したが、その中で委員がどのような意見だったのかは明らかにしなかった。

 市監査委員事務局によると、合議不調は記録が残る1983年以降では初めて。事務局は委員に、参考として合議不調の際の他自治体の例を紹介した。奈良市のように意見を明らかにしなかった事例もあったが、一方で、請求に理由が「ある」とした意見と「ない」とした意見の両方を具体的に付記した事例もあった。意見を付記するかどうかは、そのときの委員が判断することという。

 このほど記者が事務局に意見の内容を確認したところ、残していないとした。公表された監査結果がすべてで、合議不調であるか否かに関わらず審議の過程の議事録も作成してないとした。こうしたことを義務付けた規定はないという。住民はどのような経緯で合議に至らなかったのか全く知ることができないとの指摘には、事務局は「おっしゃることの趣旨は分かるが、(職務の独立性がある)監査委員の判断であり、事務局では答えられない」とする。

 県内では、このほか生駒市で2010年8月に合議不調となった事例があったが、奈良市と同様、監査結果の結論のみを公表、どのような意見があったかは明らかにしなかった。

 一方、全国では、神奈川県藤沢市が10年2月に合議不調となった事例で、請求に理由が「ある」とした意見と「ない」とした意見の両方を参考として付記した。市監査事務局は「意見を付記している他市の例があった。紋切り型ではいかがなものか、参考として意見を付けようとの判断があった」とする。同市では10年度から、審議の過程についても要点筆記の形で議事録を作成している。

 また、合議不調の際に両方の意見を付記してきた、千葉市の市監査委員事務局行政監査課は「両論を併記することで、どのような経緯で合議不調となったか分かりやすくなる。請求者に分かってもらうにはその方が望ましい」と意義を語る。

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