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発行者/奈良市・浅野善一
フリージャーナリスト浅野詠子

奈良県)奈良市保存樹、暗越奈良街道のクロマツ伐採 樹齢150年、マツクイムシ被害で

奈良市のホームページで紹介されていたクロマツ

奈良市のホームページで紹介されていたクロマツ

 平城京と難波を結んだ古道、暗越(くらがりごえ)奈良街道(国道308号)の沿道、奈良市中町に幕末ごろからあったとされていたクロマツの大木が、伐採されていたことが分かった。市巨樹保存・緑化推進条例で保存樹に指定されていた。

 同街道沿いで威容を保ち、独特な景観が市民に親しまれてきたクロマツ。枝ぶりも重厚感があり、樹高は16メートル、幹回りは2メートルだった。市が委託した樹木医の推定では樹齢約150年。白壁の土蔵がある木造民家の庭にあったが、所有者は24日、「マツクイムシの被害に遭い、昨年11月4日に伐採した」と話した。

 保存樹を担当する市農林課によると、所有者から伐採の要望を受け、市巨樹保存等審議会の菅沼孝之会長と市職員らが現地を調査したところ、マツクイムシの被害が確認された。一部、元気な枝ぶりも残っていたが、立ち枯れが進行していく懸念が強まり、所有者の意向を尊重した。

 クロマツの保存樹指定は2005年。所有する世帯の高齢者男性に、記者は09年、聞き取り取材をしていた。男性は小学生の頃、遠足で初めて生駒山に登ろうとする折、「生駒山からわが家のクロマツが見える」と父親に言われ、山頂付近から眺め渡すと、約6キロ先に本当にその雄姿を見ることができたと、懐かしそうに話した。男性は伊勢参りの五人衆と呼ばれる講の一員で、伊勢神宮参拝の有名な旅程である暗越奈良街道沿いの大樹が誇らしそうだった。代々の言い伝えでは、樹齢180年とされていた。

 クロマツは09年、市民グループが生駒市内で開いた「暗越奈良街道百景」の写真・絵画展でも紹介された。

 市の保存樹制度は02年にでき、現在25の樹木が指定されている。保存樹の台帳から削除されたのは今回が5例目。台風被害や立ち枯れなどで姿を消したという。巨樹の保存を啓発する制度で、病虫害の対策や管理の費用は所有者が負担する。

 クロマツは伐採から3カ月以上が経過したが、市はホームページの保存樹紹介コーナーから削除していない。市農林課は「今回のクロマツに関するマツクイムシの詳しい被害状況については、調査した職員が昨年12月に移動したのでよく分からない。素晴らしい樹木だった。保存樹のホームページから早急に削除する」と話している。

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