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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

奈良市富雄川沿いに農家など歴史的建造物153件 ベッドタウンの傍ら旧集落の景観 県建築士会調査

伝統的な大和棟の農家住宅(左右の屋根が急傾斜の建物)がある富雄川沿いの旧集落

伝統的な大和棟の農家住宅(屋根の傾斜が急な左右の建物)がある富雄川沿いの旧集落の家並み=2015年9月26日、奈良市大和田町

 奈良県建築士会(渕上徳光会長)はこのほど、奈良市の富雄川沿いの旧集落を対象に、住宅などの歴史的建造物を調査、報告書にまとめた。調査では、築50年以上の農家住宅や町家が153件確認された。報告書からは、宅地開発の波に押されながらも、農村集落の景観が残っていることが分かる。

 同建築士会は2010年から3年をかけて地域文化財建造物専門家(ヘリテージマネジャー)103人を養成した。調査はこの養成活動の一環で、「奈良市内における近世近代の歴史的建造物の掘り起こしによる地域活性化事業」として、市教育委員会文化財課の協力を得て実施された。

 報告書によると、調査地域は旧の二名村、三碓村、中村、大和田村、石木村の5地区。同地域は長く農業が主な産業だったが、日本の高度成長期には大阪のベッドタウン化が進んだ。一方で、現在も米作りを中心に農業が続けられていて、田園風景や旧集落の形態が残っている。

 調査は2014年6月から15年3月にかけ、旧集落の住宅785件を対象に行われた。主屋については、建築50年以上の「歴史的建造物」、建築年代は新しいが伝統的な意匠の「中間的なもの」、これら以外の「非歴史的建造物」に分類し、屋根の形式などを調べた。それによると、歴史的建造物では農家住宅や旧街道沿いの町家が153件あったほか、中間的なものが179件確認され、伝統的な意匠を継承する新しい建物が多数あることも分かったという。

 また、歴史的建造物とされた主屋では、大和棟や草ぶき(現在はトタンぶき)という伝統的な屋根形式を持ったものが24件確認された。うち大和棟は14件。本県などの農家住宅に特有の形式で、切り妻の急な傾斜の屋根の端に緩い傾斜の屋根が続く意匠が特徴的。この14件とは別に平成に入って建てられた大和棟も1件あった。珍しい例という。

 付属屋についても種類や数を調査した。長屋門や離れ、納屋、土蔵など伝統的な意匠形式の建物が多数確認された。庭をこれらの建物が囲む「囲造り」は、奈良盆地の典型的な農家住宅の形式という。

 報告書は38ページで、建物の写真や分布図も付いている。建築士会は15年3月1日、同市中町の富雄南公民館で、主に地域住民を対象に調査の成果を紹介する報告会を開いた。

 問い合わせは同建築士会、電話0742-30-3111。

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