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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

県、生活保護・通院交通費の遡及支給で男性の不服審査請求を棄却

 奈良市が市内の生活保護利用者の男性に対し、通院交通費を5年前にさかのぼって支給すると通知しながら、その後一転して申請を却下した問題で、奈良県知事は18日までに、男性が市の却下処分を不服として、その取り消しを求めて行った審査請求を棄却した。

 男性は同市の橋本重之さん(81)。棄却は11月12日付。

 県の裁決書は、棄却の理由として、生活保護の扶助費は生活困窮に直接的に対処する給付として考えられる▽追加支給する扶助費は2カ月程度の遡及(そきゅう)までが限度とされる―などと述べ、橋本さんの5年前にさかのぼっての通院交通費申請に対して支給することは「妥当ではないと判断される」とした。

 県が認定した事実によると、奈良市は、通院交通費の周知徹底を求める厚生労働省の2010年3月の通知があるにもかかわらず、14年10月まで保護のしおりなどによる周知を行っていなかった。橋本さんは14年7月、5年前にさかのぼって交通費を申請した。市は、橋本さんが制度を知っていれば申請したであろう交通費の支給について厚労省に照会。「2カ月のみ遡及可能である」との回答を得た。市は15年3月、申請を却下した。

 審査請求書などによると、市はいったん、橋本さんの過去の交通費について、通院回数を確認できるレセプト(診療報酬請求明細書)の保存期間(5年)の範囲で支給すると、本人に文書で伝えていた。

 橋本さんは15年5月21日付で同審査請求を行ったが、生活保護法が定める期限の50日以内に県の裁決がなかったため、10月28日、請求が棄却されたとみなし、市を相手取り、却下処分の取り消しや国家賠償法に基づく損害賠償を求める訴えを奈良地裁に起こしている。

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