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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)奈良のJR京終、復元進む明治駅舎の活用策語り合う 県立大で県民講座

JR京終駅舎の活用策について語った市の担当者や地元の人たち=2018年2月21日、奈良市船橋町の奈良県立大学

JR京終駅舎の活用策について語った市の担当者や地元の人たち=2018年2月21日、奈良市船橋町の奈良県立大学

 奈良県奈良市船橋町の県立大学で21日、県民講座「鉄道資源の再活用と新たなまちづくりの可能性~『京終駅舎の再生とまちくづくり』を素材に」があり、市民ら約40人が参加。同駅では、現在も現役の明治の木造駅舎を120年前の開業時の姿に復元する工事が進んでおり、市の担当者や地元住民らがその活用策を語り合った。

 第1部は同大学教員による報告。地域創造学部の新納克広教授は、利用者が減少しているローカル線を乗って残すことは難しいとし、観光資源としての駅の可能性に着目、鉄道ファンに来てもらったり、20世紀の産業遺産としての価値や残っている古い施設の文化財としての価値を生かすことを提案した。また、同学部の鶴谷将彦講師は、駅舎再生は駅に新たな役割を持たせることとし、まちの拠点・シンボルとしての役割に注目、京終駅などを事例に課題を指摘した。

 第2部では、京終駅舎の活用に取り組む市の担当者や地元住民らが参加して公開討論を行った。駅舎は、市がJR西日本から無償で譲り受け、国の交付金を利用して復元を進めている。完成は秋の予定という。京終駅周辺まちづくり協議会会員で、駅近くでゲストハウスを営む安西俊樹さんは、駅周辺ではゲストハウスの増加に伴って外国人観光客が増えていることや、奈良安全索道の歴史や元興寺文化財研究所の立地など有形無形の地域資源が豊富であることを挙げ、駅を中心として「にぎわいのスタイルができつつある」と述べた。

 また、同協議会会員で元朝日新聞記者の神野武美さんは、復元後の駅舎の平面図を示して、待合室を展示空間として活用したり、かつての駅務室を喫茶コーナーとして活用したりする案を披露した。市奈良町にぎわい課の徳岡健治課長は、まちを知っていて、誇りを持っている人たちに駅舎再生の主役になってもらいたい、と地元住民の役割に期待した。

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