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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

占領下沖縄からの元留学生、崎浜さんが母校の奈良教育大で講義

郷里の沖縄県を題材に平和と人権の課題を語る崎浜盛喜さん=2021年12月2日、奈良市高畑町の奈良教育大学

郷里の沖縄県を題材に平和と人権の課題を語る崎浜盛喜さん=2021年12月2日、奈良市高畑町の奈良教育大学

 55年前の1966年、占領下にあった沖縄から国費留学生としてパスポートを持って奈良教育大学に入学した奈良市在住の崎浜盛喜さん(74)が2日、同大学の教室で「沖縄―平和と人権」と題し、学生36人を前に講義をした。

 崎浜さんは沖縄県北中城村安谷屋生まれ。太平洋戦争末期、沖縄戦の捕虜収容所において61歳の祖父がマラリアにかかり死亡、3歳の兄は同収容所で餓死した。琉球政府立普天間高校を卒業し、猛勉強をして留学制度の試験に合格。奈良の地を踏んだ4月、真っ白な満開のサクラがとても珍しく感動したという。

 国内の米軍基地はなぜ沖縄に集中して存在するのか、崎浜さんはこの日、政治学概論のゲストとして解説。「全国の0.6%の面積しかない沖縄において米軍専用施設の70.3%が集中する」と投げ掛けた。前沖縄県知事の故翁長雄志さんが2015年、「沖縄人の自己決定権はないがしろにされている」と国連で訴えた言葉を紹介し、公選の長は当時、どんな思いだったのかに言及した。

 崎浜さんが小、中学生たちに平和の尊さを語った回数は200回に及ぶ。学生から「郷里の沖縄戦の話を続けられ、つらくなることはないのですか」と質問されると「戦争の犠牲になった人々が一番つらい。3歳で死んだ兄だって、もっともっと生きたかっただろう。命こそ宝です。相手の人権を尊重できる共生の思想が広がることが何より大事」と力を込めた。 関連記事へ

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