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地階「動物管理施設」の表示省略、なぜ奈良市保健所の施設案内 4月、JR奈良駅前に新築移転
奈良市三条本町に新築され、今月1日開所した市保健所・教育総合センターの施設案内に、地下1階の動物管理施設の表示がない。なぜか省略されている。動物管理施設は飼い主のいない犬猫を収容する施設で、住民からは迷惑施設の扱いを受ける。市は「保健所4階にある生活衛生課の付属施設だから」などと説明するが、行政に求められる公開性に反してないか。
建物は9階建てでJR奈良駅前の市中心部にある。保健所は2~5階で、5つの課が入っている。動物管理施設を担当する生活衛生課は4階にあり、業務の一つとして犬の登録や狂犬病予防注射、徘徊(はいかい)犬の収容、犬猫の飼育相談を行っている。このほか2階には子育て支援施設もある。一方、6~9階は教育センターで、教職員の研修施設や子どもの学習施設がある。1階はボランティアインフォメーションセンターと喫茶コーナーとなっている。保健所は同市西木辻町から移転、教育センターは新規に開設された。 問題の施設案内の表示は各階やエレベーター内などにあるが、いずれも案内は1階から9階までで、地下1階の動物管理施設は省略されている。 ▼市広報紙は業務内容の説明なし 市保健所・教育総合センターの開業を取り上げた市広報紙「ならしみんだより」(ほぼ全戸配布)の4月号でも、動物管理施設の説明は少なかった。階ごとに、所在する課や施設の名称とその業務内容を具体的に紹介しているが、地下1階の動物管理施設については名称を記したのみで業務内容には触れていない。 動物管理施設の地下への設置は、生活衛生課によると保健所移転に当たって行われた住民との協議の結果という。犬の鳴き声や臭気を心配する声を受けて、防音や衛生、換気の対策も講じられている。殺処分についても、施設内では行わないという住民への約束に従い、移転前から取り入れている移動式処分装置(トラックの荷台に装置を積んだもので、走行しながら殺処分を行う)の利用を継続した。 保健所で市民らの声を聞いた。介護士女性(25)は地下に動物管理施設があるのを知らなかったといい、「隠す必要はない。堂々と表示した方が良いと思う。ただ、子ども対象の施設もあるので、衛生面で市民の感じ方が変わってしまうのだろうか」と話した。一方、50代の県職員女性は「保健所にはそういう場所もあるから、どこかにあるだろうと思う。でも、まさかこの下にあるとは。びっくりした。ただ、内々のことだからあえて表示しなくてもよいのでは」と話した。 2人ともに、動物管理施設という名称だけでは業務内容を思い浮かべることができなかった。 泉幸宏・市生活衛生課長は動物管理施設の表示を省略した理由について「課の付属施設であり、窓口は課事務所のある4階。施設は職員が外に出ていて不在のときも多く、市民に直接、訪ねられては困る。市民にも迷惑がかかる」とする。その上で「希望者への犬の譲渡など、9月の動物愛護週間に合った事業の展開も考えており、施設も自ずと市民に見えてくる」と説明している。(浅野善一) |
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