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二重扉に集音材 鳴き声、漏らさない徹底奈良市、表示省略の地階「動物管理施設」
案内表示が省略されていることが分かった奈良市保健所・教育総合センター内の動物管理施設。多くの市民が住み、行き交うJR奈良駅前の市中心部に立地する。近隣住民に配慮して地下に設置された施設は、鳴き声や臭気を外に漏らさないことが徹底された。施設を取材した。
奈良市は2002年、中核市に移行。これに伴い、それまで県が担っていた保健所の業務を行うことになり、その業務の一つである飼い主のいない犬猫の収容や殺処分も行わなければならなくなった。市保健所は同市西木辻町から、今月1日、三条本町に新築された同センターに移転、地下1階を動物管理施設とした。
動物管理施設は広さ約400平方メートル。成犬収容室、子犬収容室、譲渡動物飼養室、狂犬病鑑定室、負傷動物処置室などがある。大きな特徴は防音対策である。「鳴き声が漏れたら子どもの教育によくない」との住民の不安の声を受けたものだ。出入り口には分厚い鉄製扉を二重に設け、天井や壁には集音材を張り巡らした。臭気対策でも、排気は活性炭を通過させ、収容室には空気清浄器を備えた。 また、清潔を保つため清掃に時間をかけ、ふんなどの始末では湿気の原因になる水は使わず、モップによる拭き取りを行っているという。 殺処分についても、施設内では行わないという住民への約束に従い、移転前から取り入れている移動式処分装置の利用を継続した。トラックの荷台に装置を積んだもので、走行しながら殺処分を行う。施設内の車庫に待機している。 施設は地下だが、唯一、外光が入る所がある。収容室の天井近くの壁の一部をガラスブロックにした。収容している犬にせめて昼夜の違いが分かるようにとの配慮という。子どもなどへの動物愛護教育を想定した工夫もしたという。負傷した犬猫を収容した場合に治療を行う処置室の廊下側壁の一部をガラス張りにした。廊下からガラス越しに室内を見学できる。 担当の市生活衛生課によると、2010年度に収容した犬猫は合わせて400匹近くに上る。7割を子猫が占め、犬は3割。飼い主などから引き取りを求められた犬猫が多く、徘徊(はいかい)犬の収容は少ないという。一方、収容した犬猫のうち希望者に譲渡された犬はわずか4匹で、猫は譲渡の希望がないという。大半の犬猫は殺処分された。 泉幸宏・同課長は「施設の存在を伏せるつもりはない。地元住民や市議会にも施設を見学してもらった」とし、施設づくりで防音・臭気対策のほか、収容動物に配慮した工夫や動物愛護教育を想定した工夫を行ったことを強調している。(浅野善一) ご意見・ご感想(4件)▼山崎しのぶ(5月14日) ▼有馬克巳、会社員(5月14日) ▼和泉資子(43)会社員、東京在住(2011年5月12日) ▼下川麻美(31)北海道在住(2011年5月12日) |
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