|
会館管理基金、市町村振興協会でも仕組債組合関連で一時、総額88億
奈良県市町村総合事務組合(管理者、小城利重・斑鳩町長)の退職手当基金取り崩しで、仕組債は売却に伴って大きく元本割れすることがあると分かった。組合はその仕組債に市町村会館管理基金でも約9億円を投入していた。別団体にはなるが、組合が事務局業務を行っている県市町村振興協会(理事長、森下豊・橿原市長)も基金で約11億円を投入していた。どちらも最近になって国債などへの切り替えを進めているが、一時は同組合の関連で合わせて88億円を仕組債に投入していたことになる。 建物改修に備え積み立て同組合事務局がある市町村会館は8階建ての建物で1997年に完成した。維持費は県市長会、県町村会、県町村議長会などの分担金から支出している。管理基金はその収支で黒字になった分を、建物の改修に備えて積み立ててきた。 基金の残高は2010年度末で16億1572万円、うち約9億円が仕組債だった。5銘柄あり、いずれも円建て外債。契約時の金利は高いもので4%、平均で2.6%。組合事務局によると、これまでの運用益は計1億5500万円。一部の債券は金利がゼロになる時期もあったという。 このうち3銘柄7億円分は現在までに早期償還となり、20年の利付き国債と定期預金に切り替えた。仕組債を選択しなかった理由について、リーマン・ショック(2008年)や欧州危機を受けて検討した結果という。償還となったのがいずれの銘柄であるかや、現在も保有している2銘柄2億円分の時価については明確にしなかった。 円高で金利ゼロも県市町村振興協会は、県が発売する市町村振興宝くじ(サマージャンボ宝くじ、オータムジャンボ宝くじ)の収益金の交付を受けて、県内市町村を対象に交付金の配分や公共施設整備の貸し付け、災害時緊急対策の貸し付けを行っている。貸し付け資金とするため、県からの交付金の一部を積み立て、基金を運用している。 基金の残高は2010年度末で30億8023万円。うち10億9956万円が仕組債。6銘柄あり、いずれも円建て外債。米ドルや豪ドルに対する円相場に連動して金利が上下する。高いもので最大4%の金利が付く。これまでの運用益はことし4月4日現在で2億1684万円となったが、うち3銘柄は近年の円高により塩漬けと呼ばれる金利ゼロの状態が続いている。この3銘柄はいずれも金利が付く円相場が1ドル90円台に設定されている。 残る3銘柄は6月までに期限前償還となった。これ以上、利息を払って運用を続けられないとする金融機関側の都合によるもの。この償還分については運用を1年の利付き国債に切り替えた。同協会事務局は「円高傾向が続いており、先行きが不透明。かなりの円安になれば別だが、仕組債は危険、もうやらない方向だ」とした。
|
関連記事テーマ
ご寄付のお願い
ニュース「奈良の声」は、市民の皆さんの目となり、身近な問題を掘り下げる取材に努めています。活動へのご支援をお願いいたします。
振込先は次の二つがあります。 ニュース「奈良の声」をフォロー
当サイトについて
当局からの発表に依存しなくても伝えられるニュースがあります。そうした考えのもと当サイトを開設しました。(2010年5月12日)
|
|