奈良県が工事の入札を公告した近鉄奈良駅前行基広場の大屋根の設置費用は、基礎部分の地下にあるガスや電気の埋設物移設費用などを加えると、予算が2億2200万円になることが分かった。県はこれまで設置費用を1億5100万円と説明していたが、実施設計前の本体工事のみの概算だったという。
県道路・交通環境課によると、設置費用は本体工事が概算で1億7000万円。このほかに、駅ビルへのガスの引き込み管の移設費用と、関西電力管理の管路移設のための同社への補償費が必要という。広場の石板舗装を本体工事などの後、元に戻す付帯工事もある。また、設置費用とは別に、これまでに基本設計の595万円と実施設計の486万円を合わせて1000万円余りを支出している。
大屋根設置の事業費について、県がこれまで示していたのは1億7600万円。うち1億5100万円が本体工事で、このほか、市民の批判を受けて計画をいったん中止したため、基本設計・実施設計のやり直しで2011年度予算に2500万円を計上していた。やり直しは実施設計のみで済んだため、実際の支出は減った。埋設物の移設費用には触れていなかった。
同課は「本体工事の費用や埋設物の移設費用は、実施設計に基づいて積算し、発注段階で正確に固まる」と話している。
広場地下の埋設物をめぐっては、一昨年7月、大屋根計画に対する市民の批判の声が高まる中、県は実施設計の入札を公告後に突然中止、県は理由について「敷地内の地下埋設物などについて精査の必要が生じたため」としていた。
設置工事の入札は一般競争入札で行われる。本体工事のほかにガス引き込み管移設、付帯工事の石板舗装が含まれ、入札額の上限となる予定価格は1億9935万3000円。業者を決定する開札は10月17日。