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大屋根の入札を公告 反対市民は失望の声県、10月中旬に着工
奈良県は29日、近鉄奈良駅前の行基広場に計画している大屋根の設置工事の一般競争入札を公告した。着工は10月中旬の予定、本年度中の完成を目指す。批判の声に押されて一昨年7月21日にいったん計画を中止してから2年。屋根は要らないと訴えてきた市民の間からは「大変残念」と失望する声が聞かれた。 計画をめぐっては、奈良市が本年1月と4月に市景観審議会を開催。同審議会の対象となるのは通常、法律や市条令で定められた基準を超える施設や大規模な施設の建設など。大屋根はこうした基準内には収まっているが、市は賛否が大きな問題になっていると判断した。審議では反対意見も飛び出し、市は答申結果を県に通知する際、「市民の理解を得るよう充分検討して」と例外的に市としての意見も添えた。 県道路・交通環境課は担当の市景観課に意見の趣旨を確認したとし、市の返事は「設置に関する是非を聞くパブコメなどを再度求めるものではなく、地元や関係機関に説明し、調整を行った上で計画を進めてほしいという趣旨である」というものだったと説明。計画推進の根拠を問うかに見えた市の意見は、単なる手順の問題として扱われた。 許認可の手続きでは、7月19日までに建築基準法に基づく建築確認を終え、今月18日、行基広場を管理する市の行基広場管理要綱に基づく広場使用許可を得た。入札に対する開札はは10月17日に行われる。 計画によると、広さ約560平方メートルの行基広場のほぼ全体を、高さ11メートルの鉄骨造りのガラス屋根で覆う。柱の表面は木材で化粧を施す。屋根部分の骨組みの色は市景観審議会の答申結果を踏まえて、当初の黒っぽい色からホワイトグレーに修正した。本年度予算に計上されている工事費用は2億2200万円。このほか、これまでに基本設計と実施設計で1000万円余りを投じている。 デモなどで大屋根反対を訴えてきた奈良市在住の作家、寮美千子さん(56)は「まちの人に聞くと、何でそんなものが要るの、青空の方がいいという意見が圧倒的に多い。県が計画推進の根拠にしているアンケートや有識者の意見自体がおかしい。県は、肌で感じられる本当のまちの声に耳を貸そうとしない。大変残念。行政に深く失望した」と話している。 |
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