地域の身近な問題を掘り下げて取材しています
拠点・奈良県大和郡山市 運営者・浅野善一

4市町村の首長、議長「組合に説明責任」

県市町村総合事務組合 仕組債問題 奈良の声アンケート

メール
2012年10月15日 浅野善一
奈良県市町村総合事務組合の仕組債元本割れ問題
負担金を支出する市町村の首長・議会議長に聞く(敬称略)
市町村長 仕組債の
元本割れ
住民への説明責任
知って
いた
知らな
かった
ある ない 組合の対応について
葛城市 山下和弥       知らなかったためコメントできない
宇陀市 竹内幹郎        
山添村 窪田剛久         アンケートへの回答を控えたい
平群町 岩崎万勉         アンケートへの回答を控えたい
三郷町 森宏範         アンケートへの回答を控えたい
斑鳩町 小城利重         組合管理者としてすでにコメントを出している
安堵町 西本安博         アンケートへの回答を控えたい
川西町 上田直朗         アンケートへの回答を控えたい
三宅町 志野孝光         アンケートへの回答を控えたい
田原本町 寺田典弘         アンケートへの回答を控えたい
曽爾村 岡田泰昌     損失ではないと思う
御杖村 鈴木仁彦      
高取町 植村家忠     住民の前に首長に詳しい説明が必要。その内容で判断すべき
明日香村 森川裕一         アンケートへの回答を控えたい
上牧町 今中富夫       事実が明らかにされていないので回答できない
王寺町 保井伸介       事実関係が明らかでないため回答できない
広陵町 平岡仁         10月14日時点で回答なし
河合町 岡井康徳      
吉野町 北岡篤     説明責任を果たすための適切な情報公開が必要
大淀町 岡下守正        
下市町 東奈良男         (アンケートの前提が)事実と異なるので無回答とさせていただく
黒滝村 辻村源四郎       組合から説明がなく事実関係の確認ができていない
天川村 森本靖順      
野迫川村 角谷喜一郎      
十津川村 更谷慈禧       組合から情報提供、説明がなく事実関係の確認ができていないので回答できない
下北山村 上平一郎       詳細を承知していないので判断できない
上北山村 福西力       組合から情報提供、説明がなく事実関係の確認ができていなく回答できない
川上村 栗山忠昭       事実関係がはっきりした時点で判断したい
東吉野村 水本実        
合計 4 14 2 5
議会議長 仕組債の
元本割れ
住民への説明責任
知って
いた
知らな
かった
ある ない 組合の対応について
葛城市 西山弥三郎       知らなかったためコメントできない
宇陀市 小林一三     新聞報道で知った。経緯を含めた説明を行うべき
山添村 吉矢義彦         アンケートへの回答を控えたい
平群町 山田仁樹       組合の対応を見守りたい
三郷町 深木健宏         アンケートへの回答を控えたい
斑鳩町 嶋田善行         アンケートへの回答を控えたい
安堵町 森田瞳         アンケートへの回答を控えたい
川西町 森本修司         アンケートへの回答を控えたい
三宅町 辰巳勝秀         アンケートへの回答を控えたい
田原本町 松本宗弘         アンケートへの回答を控えたい
曽爾村 田合佐智夫      
御杖村 中谷誠      
高取町 松川博文      
明日香村 花井萃         アンケートへの回答を控えたい
上牧町 東充洋         アンケートへの回答を控えたい
王寺町 小泉強         アンケートへの回答を控えたい
広陵町 青木義勝         アンケートへの回答を控えたい
河合町 池原真智子         アンケートへの回答を控えたい
吉野町 西沢巧平     関係市町村の議会で議論すべき
大淀町 藤山量雄       分からない
下市町 森本晴男     組合からの説明を請う
黒滝村 尾上利市       事実確認ができないため不明
天川村 弓場昭       大変遺憾。村民よりまず対象となる人に説明が必要
野迫川村 別所誠司         アンケートへの回答を控えたい
十津川村 中南太一      
下北山村 北徳次        
上北山村 玉岡紀生       様子を見守る
川上村 大西広長       どちらとも言えない。各市町村議員への説明後、住民に説明するかどうか検討する必要がある
東吉野村 橋本史郎         アンケートへの回答を控えたい
合計 1 14 3 4
8月29日にアンケートの送付を始め、10月14日までに回答のあった分を集約
した。

 奈良県市町村総合事務組合(管理者、小城利重・斑鳩町長)が退職手当基金の運用目的で保有していた仕組債を満期前に売却し、20億円の元本割れが生じた問題について、「奈良の声」は退職手当負担金を支出する県内29市町村の首長と議会議長を対象にアンケートを実施した。

 元本割れを知っていたかどうか、自ら問題を公表しない組合の説明責任についてどう考えるか、を聞いた。4市町村の首長または議長が組合に説明責任があると答えた。首長、議長のいずれも、少なくとも半数が元本割れを知らなかったことも分かった。

 アンケートは各市町村の首長秘書担当者、議会事務局を通じて依頼した。8月29日に電子メールやファクスで送付を始め、10月14日までに回答のあった分を集約した。首長は1町を除いて回答があった。議長はすべて回答があった。アンケートそのものに「回答を控えたい」とする返事も、問いに対する答えの一つとして回答数に入れた。

 同組合の退職手当負担金を支出する団体は、ほかに県内の21一部事務組合があるが、数や金額で主要となる市町村をアンケートの対象にした。

半数、元本割れ知らず

 元本割れについて知っていたかどうかでは、首長で「知っていた」としたのは4人にとどまり、半数の14人は「知らなかった」とした。議長で「知っていた」としたのは1人で、半数の14人は「知らなかった」とした。

 「知っていた」とする首長、議長がいつどのように知ったかについては、竹内幹郎・宇陀市長は「(本年)7月の組合議会開催時に知った」とした。岡田泰昌・曽爾村長と鈴木仁彦・御杖村長はいずれも、2011年秋頃、組合事務局からの説明で知ったとした。

 「知っていた」とする竹内市長と岡田村長、水本実・東吉野村長、西沢巧平・吉野町議会議長は、仕組債を売却した2010、11年度の両年度かまたは11年度に、組合議会の議員を務めている。

 住民への説明責任については、首長では北岡篤・吉野町長と森本靖順・天川村長の2人が「ある」とした。「ない」としたのは5人だった。議長では小林一三・宇陀市議会議長と西沢議長、森本晴男・下市町議会議長の3人が「ある」とした。「ない」としたのは4人だった。

 首長、議長とも目立ったのは、組合から説明がなく、事実関係を確認できないため、回答できないとする答えだった。

「情報公開が必要」

 組合が説明責任を果たすために何をすべきかの問いでは、北岡町長は「適切な情報公開が必要」とした。小林議長は「原資が市町村負担金であり、安全・確実な運用を行うべき。経緯を含めた説明を行うべき」とした。西沢議長は「関係市町村の議会で議論すべき」とした。

 植村家忠・高取町長は住民への説明責任は「ない」としたものの、「住民の前に首長に詳しい説明が必要。その内容で判断すべき」とした。説明責任が「ある」としなかった首長、議長の中にも、市町村当局への説明を求める声はあった。

 アンケートそのものに「回答を控えたい」としたのは、首長では8人、議長では14人いた。

 仕組債の元本割れをめぐっては、組合事務局が2011年11月の退職手当支給事務運営検討委員会で、退職手当基金取り崩しに伴う有価証券の売却により差損が生じたことを説明していた。しかし、有価証券が仕組債であったことには触れていない。会議は市町村の退職手当負担金の引き上げを検討するのが目的で、委員となっている10市町村の担当課長らが出席した。

送付したアンケート、一部を省略しています)

県市町村総合事務組合退職手当基金の仕組債元本割れ問題について
アンケートへの回答のお願い

 ニュース「奈良の声」というインターネット新聞を運営しております浅野善一と申します。地域の問題を掘り下げて取材しています。どなたでも無料で閲覧できるニュースサイトです。検索大手グーグルのニュース検索コーナーにも、ニュース媒体の一つとして登録されています。
 お答えをいただきたいのは、県市町村総合事務組合の退職手当基金の運用をめぐる問題についてです。組合は同基金の運用目的で保有していた仕組債を2010、11年度に売却、元本割れにより20億円が消失しました。「奈良の声」の取材・報道によって明らかになりました。しかし、組合はこれを「運用益の範囲内」として、損失と認めず、自ら公表もしていません。
 基金の原資は市町村や一部事務組合の負担金です。つまり、それぞれの市町村住民の財産だったものです。従って、基金から生まれた運用益もれっきとした公金です。組合はこの問題について、何が起きたのか、なぜ起きたのか、今後どう対応するのかを自ら進んで公にし、説明する責任があります。
 仕組債は高い金利が見込めるとされますが、それは金利に連動する円相場などの動きが組合事務局の見通し通りであった場合です。見通し通りにならなければ、高い金利に比例して当然、被る損失も大きくなります。にもかかわらず、事務局が仕組債を購入したり、元本割れを伴う売却をしたりする行為は、組合議会の議決の対象になりません。これでは点検の機会も住民への公開の機会(議会傍聴、議案の閲覧など)もないことになります。
 そこで、下記の点について、退職手当負担金を支出している団体のうち29ある市町村の首長、議長の皆さまにアンケート形式でお尋ねいたします。結果を後日、掲載いたします。

▽ アンケートの質問(選択または記述をお願いいたします)
1. 県市町村総合事務組合が退職手当基金で保有していた仕組債が売却により元本割れし、20億円が消失したことはご存じでしたか
〈選択〉知っていた/知らなかった
2. 「知っていた」とお答えいただいた場合―いつどのようにお知りになりましたか
〈記述〉


3. 組合のこの問題に対する関係市町村住民らへの説明責任の有無について
〈選択〉ある/ない
4. 「ある」とお答えいただいた場合―組合は説明責任を果たすために何をなすべきとお考えですか
〈記述〉


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