消えた20億 仕組債元本割れ 奈良県市町村総合事務組合 退職手当基金問題
県市町村総合事務組合がある県市町村会館
奈良県市町村総合事務組合が退職手当基金の運用目的で保有していた仕組債を満期前に売却し、元本割れにより20億円が消失した。組合はこれを過去に得た利息の範囲内だから損失ではないとし、自ら公表もしていない。運用益は公金ではないのか、公金ではないから説明責任もないのか。住民の財産である地方公共団体の金に、投機まがいの理屈を持ち込んではならない。確実な保管を求める地方自治法上、問題だ。
仕組債は高い金利が見込めるとされるが、それは金利に連動している円相場などの動きが組合事務局の見通し通りであった場合。見通し通りにならなければ、高い金利に比例して当然、被る損失も大きい。にもかかわらず、事務局が仕組債を購入したり、元本割れを伴う売却をしたりする行為は、組合議会の議決の対象にならない。点検の機会も住民への公開の機会もないことになる。組合の基金運用のあり方を問う。