奈良県奈良土木事務所が記者の請求を受けて開示した起案文書に、記入漏れとなっていた決裁日などを書き加える改変をした問題を受け、県は7日までに、全庁に適正な文書管理を行うよう周知を図った。
記入漏れとなっていたのは、2007年度の平城宮跡国営公園化検討業務委託の起案文書2件それぞれの起案日、決裁日、施行日の全て。同事務所の職員は開示に当たり、日付を推測して書き加え、請求者の記者に写しを交付した。
県総務課によると、先月10日の庁内の定例の総務会で、不適切な事例があったことを説明し、各部局内で適正な文書管理について周知徹底を図るよう伝えた。総務会は各部局にある企画管理室を対象にした会議で、全庁的な連絡事項の伝達の場になっている。
総務課総務・文書係は、奈良土木事務所の開示文書への書き加えについて「情報公開制度の根本に関わる問題」としている。
各部局のうち、土木部は、奈良土木事務所からの報告を受け、本庁の土木部各課の課長会や七つの県土木事務所の所長会、同次長会で、文書管理の適正化について周知を図った。
この問題では、文書施行簿への記入漏れも明らかになった。奈良土木事務所はこれを受け、職員が外部に向けて発送する公文書に公印を使用する際には、文書施行の起案文書に庶務課長から日付入りの審査印を受けるよう仕組みを改めたが、土木部企画管理室は他の土木事務所にも検討するよう伝えた。
奈良土木事務所は、平城宮跡の起案文書と同じ07年度の起案文書全てを点検しており、さらに237件の記入漏れがあったことも分かっている。