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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県の県庁横・歩道撤去 危ない車道の歩行者1時間に最大100人 GWの5月3日、「奈良の声」が調査

歩道が撤去された奈良市道に奈良県が設置した迂回路の案内看板と車道を歩く人

歩道が撤去された奈良市道に、奈良県が設置した迂回路の案内看板と、子供の手を引いて車道を歩く人。看板に気付かない人もいる。左は県庁。迂回路は道路右の緑地にある=2015年5月3日、同市登大路町

車道を歩いた人の数(延べ)
2015年5月3日、「奈良の声」調べ
時間帯 歩いた人 うち南向き うち北向き
午前10~11時 31人 24人 7人
午前11~午後12時 49人 29人 20人
午後12~1時 65人 36人 29人
午後1~2時 99人 41人 58人
午後2~3時 82人 22人 60人
午後3~4時 69人 12人 57人
全時間帯の総数 395人 164人 231人

撤去された歩道の位置図

撤去された歩道と、歩道の代わりという県文化会館広場の通路、観光バスの動線を図で示した(「奈良の声」作成)

 奈良県が県庁横の奈良市道において、車道拡幅のため歩道を撤去した問題。県庁は観光名所の奈良公園前にあり、ゴールデンウイーク期間中、周辺は多くの人出がある。県は、歩道を撤去した区間の両端に迂回(うかい)路の案内看板を設置したが、5月3日の日曜日、「奈良の声」が現地で調べたところ、危ない車道を歩く人の数は、1時間当たり最大で約100人に上った。迂回路への誘導が容易ではない実態が見えた。歩道の撤去自体に無理はなかったか。

案内看板不十分、迂回路への誘導容易でなく

 市道は、同市登大路町の県庁の西側を南北に走っている。県は、南行き車線の方に右折車線と左折車線を確保するため、100メートル余りにわたって歩道を撤去、車道を拡幅した。実施に当たっては、市道を管理する奈良市に対し、市道西側に接している県文化会館広場の通路が歩道の代わりになると説明、承認を得た。工事はことし3月に完了した。

 歩行者に対しては、今月初めまでに、歩道を撤去した区間の南北両端に迂回路を示す看板を設置、「歩道はありません」「路肩を歩くのは危険」などと記して、広場通路を利用するよう案内している。南側は表通りの国道369号(大宮通り)や奈良公園などの観光名所があり、北側は観光駐車場や県立美術館、県文化会館、住宅地などがある。

 調査は、記者が同日午前10時から午後4時まで市道の前で、車道を歩く人を南に向かう人と北に向かう人に分け、延べ人数を数えた。総数は全6時間で395人に上り、1時間当たりでは約65人になった。最大は午後1~2時の99人、最小の午前10~11時でも31人だった。午前より午後の時間帯が多かった。また、午前は南に向かう人が多く、午後は北に向かう人が多かった。

 撤去された歩道は幅2.4メートルあったが、現在は幅50センチの路肩しかない。車道を歩く人の中には、ベビーカーを押す人、小さな子供の手を引いた人、杖をついたお年寄りも少なくなく、車いすを押す人もいた。路肩からはみ出して2列、3列で歩く姿も見られた。観光客とみられる人が多かったが、住民とみられる人もいた。外国人観光客とみられる人も少なからずいた。看板は、路肩の通行禁止を示す図や迂回路の図も付いているが日本語表記のみ。

 看板に気付いて迂回路へ方向を変える人もいたが、看板に気付かない人もいた。気付いてもそのまま車道を行く人もいた。夫婦とみられる年配の2人連れは、「なくなったんか」「ややこしいな」と話しながら、車道の途中から、広場の築山を乗り越えて迂回路の通路に移動していった。

 車道を歩く人が多いのは、市道を北に向かう場合だと、迂回路の広場通路へ行くには、いったん信号待ちして市道を横断しなければならないという事情もあるとみられた。歩道があったときは横断の必要がなく、そのまま市道を進めた。

 市道の車道拡幅は、県が県庁隣の県営登大路観光自動車駐車場跡地に観光バスターミナル「登大路ターミナル」を整備することに伴うもの。市道は、バスターミナルから国道369号に出る通路として、バスの通行量が増すという。バスターミナルの開業は2018年4月の予定。

 一方、撤去された歩道は古くからあり、歩行者にとって便利で安全な歩道として定着していた。

 【調査方法について】歩行者が車道を通過するたびノートに人数を記録するとともに数取器のボタンを押した。ノートの人数を足し合わせたものと数取器が最終的に示した数字を照合して、総数が一致するかどうか確めた。トイレ利用のため、午後12時4分ごろから約4分間、調査を中断した。

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