県議会傍聴者の県庁駐車場使用、無料延長対応は当然だ 通常2時間超えると1000円
【視点】奈良県議会の本会議や委員会を傍聴する際、車をとめた県庁駐車場の駐車時間を気にする必要がなくなった。というのも、議会事務局が「今後は傍聴が2時間を超えた場合、申告があれば無料駐車券を交付する」と対応を変えたからだ。
県庁駐車場は通常2時間を超えると1000円を支払わなければならず、従来、傍聴者も例外ではなかった。この6月定例会の一部を傍聴して、その不便さを強く感じ、事務局に「県民が議会を傍聴して1000円は高すぎる」と訴えた。
6月25日、梶川虔二議員(創生奈良)の代表質問を目当てに、定例会本会議を傍聴した。事前に議会事務局に同議員の質問開始予定時刻を確かめ、早まることも想定して早めに議場に入った。1人前の議員の質問が続いていた。10分の休憩を挟んで梶川議員が登壇。最後の質問が終わると、駐車時間は2時間を超えていた。
また、7月2日、建設常任委員会を傍聴した。午後1時の開始時刻の30分前に到着。最後まで傍聴すると時刻は4時になっていた。会議は3時間に及んだ。いずれの傍聴でも、駐車場の無料時間延長はしてもらえるのか、1000円の負担は大きいと思うと、時計の針が気になった。
県庁駐車場では、入り口の機械式の門で入庫時刻を記した駐車券が発行される。県奈良公園室によると、来庁者の用件が2時間を超えた場合、料金が発生しないよう訪問先の職員がその都度、出口の門を開ける段取りになっている。大規模な会議や打ち合わせで外部出席者の在庁時間が2時間を超える場合は、当該の部署が無料駐車券を交付している。
6月25日の本会議の代表質問、7月2日の建設常任委員会いずれも傍聴後、議会事務局に駐車券の無料時間延長を申し込んだ。事務局は「議会では従来、傍聴者についてそうした対応はしていない」として拒否した。こちらは「傍聴して1000円は高すぎる、県民の議会傍聴を妨げる」と訴えた。
6月25日は最終的に取材目的であるということを理由として無料駐車券が交付された。7月2日はやりとりの末、「今後は傍聴が2時間を超えた場合、事務局で氏名と傍聴した会議を記入してもらったら無料駐車券を交付する」との答えが返ってきた。議会事務局は、傍聴者一般について対応を明確にした。訴えが通じたようだった。
県奈良公園室によると、県庁駐車場の平日有料化は2年前の2013年4月。県庁隣の県営登大路観光自動車駐車場(有料)が観光バスターミナル整備に向け閉鎖されたときから。それまでは2時間の制限はあったが無料で、守衛室で理由を説明すれば、駐車券の時間制限を解除してもらうことができた。
一方、県内全12市に確認したところ、庁舎駐車場を有料にしているところはなかった。生駒市は2時間の制限があるが、超えれば訪問先の部署で延長券が交付され、議会傍聴も同様。
県民の足が議会傍聴から遠のく原因をつくってはならない。傍聴者の無料時間延長の対応は当然といえる。県議会は傍聴しやすい議会づくりに努めてほしい。 関連記事へ