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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

県庁横の歩道撤去 危険な車道歩行1時間に105人 連休の20日、奈良の声調べ 誘導看板増設も安全遠く

歩道が撤去され車道になった道路の端を通行する車いすの人

歩道が撤去され車道になった道路の端を通行する車いすの人。手前に県が設置した誘導看板付きの防止柵。右は県庁=2015年9月20日午前9時50分ごろ、奈良市登大路町(写真の一部を加工しています)

車道を歩いた人の数を、迂回路の広場通路を通行した人の数や、ゴールデンウイークに調べたときの数と比較
(奈良の声調べ)
時間帯 この連休の9月20日 ゴールデンウイークの5月3日
車道(人) 迂回路の広場通路(人) 車道(人)
午前10~11時 100 155 31
午前11~午後12時 105 305 49
午後12~1時 129 170 65
午後1~2時 118 226 99
午後2~3時 96 250 82
午後3~4時 82 254 69
全時間帯の総数 630 1360 395

トイレ利用のため、9月20日は午後12時11分ごろから約3分間、5月3日は午後12時4分ごろから約4分間、調査を中断した。

左が歩道が撤去された奈良市道の車道、右が迂回路の県文化会館広場通路。左奥は県庁

左が歩道が撤去された奈良市道の車道、右が迂回路の県文化会館広場通路。左奥は県庁=2015年9月20日午後3時30分ごろ

撤去された歩道と迂回路の広場通路の地図

 奈良県がことし3月、県庁西側の奈良市道において車道拡幅のため歩道を撤去したところ、危険な車道を歩く人が絶えないという問題が起きた。奈良の声は、県庁前にある奈良公園が観光客でにぎわうこの連休中の9月20日日曜日、問題の車道を歩く人を数えた。結果は1時間当たり105人。調査した昼間全6時間の総数は延べ630人に上った。

 同様の調査をゴールデンウイークの5月3日日曜日にも行ったが、そのときの総数は395人。県はこの間、迂回(うかい)路への誘導看板を増設するなどしてきたが、2度の調査の結果からは、歩行者の安全は遠のいたままであることが分かった。歩道の撤去自体に無理はなかったか、あらためて問われそうだ。

 車道拡幅の目的は、県が県庁の東隣に2018年3月の完成を目指して整備する「登大路ターミナル」に関わっている。同ターミナルは、奈良公園内道路の渋滞の原因とされる観光バスの流入を減らすのが狙いといい、バス駐機場などを設ける。県はターミナルの出口となる同市道にバスの右折・左折の2車線を確保するため、約100メートルにわたって歩道を撤去した。歩行者については、市道にほぼ並行している県文化会館広場通路に誘導することにした。

 市道を通行するのは観光客や住民。市道の南側には目抜き通りの国道369号(大宮通り)や奈良公園などの観光名所、北側には観光駐車場や県立美術館、県文化会館、住宅地などがある。

 奈良の声が調査した時間は午前10時から午後4時まで。北に向かう人、南に向かう人を合わせて延べ人数を調べた。時間帯別で最も多かった午後12~1時は129人に上った。一方、最も少なかった午後3~4時でも82人だった。

 比較のため、迂回路の広場通路を通行する人も数えた。全6時間の延べ人数は1360人だった。車道を歩いた630人との比率はほぼ2対1となり、全歩行者のうちで車道を歩く人がかなりの数に上ることも分かった。

 車道の端にある路肩は幅50センチしかなく、人がすれ違うときは路肩からはみ出すことになる。2列になって歩く人たちもいる。記者が調べている間、車道を通行する人の中には交通弱者も少なくなかった。車いすの人や足元のおぼつかないお年寄り、つえなどの補助具に頼るお年寄り、ベビーカーを押したり、小さな子供を連れていたりする人たちがいた。歩行者に向かって警笛を鳴らす車もあった。

 迂回路の広場通路は動線が不自然で分かりにくい上、行き先によっては道路の横断も必要で不便。誘導看板への反応では、看板を見て迂回路へ方向を変える人もいたが、気付かない人もいるとみられた。

 ゴールデンウイークの5月3日の調査では、車道を歩いた人の数は時間帯別で最大が午後1~2時の99人、最小が午前10~11時の31人だった。県はゴールデンウイーク後、奈良の声が今回の調査を行うまでに、迂回路への誘導看板を4枚から8枚に増やし、さらに車道への歩行者の進入を防ぐ防止柵を5つ設置している。

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