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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

県庁横の歩道撤去問題 横断歩道増設し、歩行者誘導 県の新年度予算案に計上

奈良県庁西交差点。中央が歩道が撤去された奈良市道で、左側の県文化会館広場木立の手前に横断歩道が増設される。右側は既存の横断歩道と県庁=2016年3月16日、同市登大路町

奈良県庁西交差点。中央が歩道が撤去された奈良市道で、左側の県文化会館広場木立の手前に横断歩道が増設される。右側は既存の横断歩道と県庁=2016年3月16日、同市登大路町

撤去された歩道と迂回路の広場通路、増設される横断歩道の位置図

 奈良県庁西側の奈良市道において昨年3月、県が車道拡幅のため歩道を撤去した後、危険な車道を歩く人が絶えない問題で、県警は安全対策として、県庁西交差点に横断歩道を増設する。費用約2500万円が県の2016年度予算案に計上された。予算案は開会中の県議会2月定例会に提案されている。

 県は、奈良公園を訪れる観光バスの乗降などの拠点として、県庁東側に登大路バスターミナルを計画しており、ターミナルを利用するバスの通行に対応するため車道を拡幅。これに伴い、約100メートルにわたって歩道を撤去した。歩行者については、市道西側の県文化会館広場通路に誘導することにした。通路への誘導看板を設置したが、車道を歩く人が絶えないという状況が続いている。

歩車分離方式を想定

 県庁西交差点は、市道が国道369号(大宮通り)に突き当たるT字路で、信号機がある。国道を渡ることができる横断歩道は現在、交差点の東側だけにある。撤去した歩道は市道の東側にあった。一方、広場通路は、市道を挟んで反対側の西側にある。このため、広場通路を通行する際、いったん市道を横断せずに、そのまま国道を渡ることができるよう、交差点の西側にも横断歩道を設ける。

 県や県警は、これによって車道を歩く人を広場通路へ誘導できると考えている。横断歩道の増設に伴い、交差点の信号は、歩車分離方式に切り替えることを想定している。

 交差点の南側には奈良公園や興福寺、北側には文化会館や県立美術館、観光駐車場がある。「奈良の声」が、連休の日曜日となった昨年9月20日に車道を歩く人を数えたところ、1時間当たりで105人に上った。ゴールデンウイークの同5月3日日曜日の調査でも、1時間当たり65人の歩行者を確認した。

 同市道は、道路を新設、改築するときの技術的基準を定めた国の道路構造令やこれに準拠した市の条例に照らせば、反対に歩道の設置を求められる道路に相当する。県文化会館広場の一部を削って道路全体を拡幅し、歩道を残す方法も考えられるが、県道路環境課によると、検討はされなかった。通路は広場の一部であり、市道には属さない。市道を管理する市の権限は及ばない。【続報へ】

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