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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)県建設の奈良公園バスターミナル開業 バス通り道から歩道撤去で通行者の安全課題

バスターミナル開業の日、奈良市道の車道路肩を歩く通行者をよけて走行する観光バス=2019年4月13日、同市登大路町

バスターミナル開業の日、奈良市道の車道路肩を歩く通行者をよけて走行する観光バス=2019年4月13日、奈良市登大路町

開業した奈良公園バスターミナルに到着した第1号の観光バス=2019年4月13日、奈良市登大路町

開業した奈良公園バスターミナルに到着した第1号の観光バス=2019年4月13日、奈良市登大路町

 奈良県が、奈良市登大路町の県庁隣で建設を進めていた奈良公園バスターミナルが4月13日、開業した。県はバスターミナル建設に合わせ、観光バスの通り道となる県庁横の市道の車道を広げるために、同市道から歩道を撤去。通行者が車道の路肩を歩くという事態を招いた。バスという大型車の通行が始まり、危険は増す。通行者の安全は守れるのか。

車道路肩を歩く人の姿、今も

 奈良公園周辺は交通渋滞が問題となっている。バスターミナルは、公園中心部への観光バスの流入抑制を目的に、公園の玄関口となる同所に設けられた。観光バスの乗降場や駐機場、待合室があり、バスは客を降ろすと、客が観光を終えるまでの間、隣の大和郡山市にある駐機場で待機する。バスの受け入れ時間は午前7時半から午後6時半まで。バスターミナルにはほかに、展示室やホール、飲食店、土産物店などの観光施設もある。

 バスターミナルにはこの日、午前8時20分すぎに第1号となる長野県の松本ナンバーの観光バス1台が到着した。この後、修学旅行の児童生徒や団体旅行の客を乗せたバスが次々と入場した。

 歩道が撤去された市道は県庁を挟んで西側にある。バスターミナルはバス出入り口が別々になっている。入り口は国道369号に面しているが、出口は面していない。出口から国道に出るにはいったん同市道を経由しなければならない。

 県は、同市道でのバスの通行を円滑にするため、対向2車線のうち、南行き車線を約100メートルにわたって右左折の2車線に拡幅。南行き車線側あった歩道を撤去した。同市道の歩道は南行き車線側にのみあった。観光客や住民などの通行者が車道の狭い路肩を歩くという事態を招いた。

 バスターミナル開業のこの日も、車道の路肩を歩く通行者の姿があった。その横をバスが通過していく場面を、記者は現場にいた午前10時ごろまでの間に複数回確認した。通行者との間隔を取りながら走行するバスや、信号待ちで停止したバスの横の狭い空間を歩く通行者を見た。

 県の担当者によると、この日は事前に100台余りの利用予約が入っていた。同数のバスが同市道を通過していったことになる。

 県はバスターミナル開業に当たって、バスが同市道に進入する交差点に警備員1人を配置した。車の交通整理とともに、通行者に車道を歩かないよう促してもらうとのことだが、この日の警備員の動きは通行者への注意喚起にまで及んでいないように見えた。

 県は歩道撤去に当たって、通行者については市道西側に面する県文化会館広場の通路へ迂回(うかい)させることにした。同通路への誘導看板も複数箇所に立てた。また、通行者が車道に流れないよう、歩道撤去区間の南端にある国道369号交差点の横断歩道をスクランブル化した。しかし、この迂回路は動線が不自然で分かりにくい上、不便。

 同市道は、道路を新設、改築するときの技術的基準を定めた国の道路構造令やこれに基づく奈良市条例に照らせば、逆に歩道の設置を求められる道路に相当する。県は、県文化会館の広場通路が代替機能を果たせるとするが、同通路は市道には属さない任意の通路。市道を管理する市の権限は及ばず、代替機能の維持は県任せになる。通行者にとって交通安全環境は後退している。

 今後のバスターミナルの利用台数は、これまで団体観光バス専用として利用されてきた県営大仏殿前駐車場が1日平均220台、最大時で280台だったことから、これと同規模の数が予測されるという。

 県の担当者はこの日、歩道撤去の影響について「気になるところは改善しながら(バスターミナルの事業を)進める」と話した。【続報へ】

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