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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

西奈良県民センター跡地 県が売却に向け、公園の計画区域から外す手続きへ 住民に意見表明の機会も

西奈良県民センター跡地利用

 奈良市登美ケ丘2丁目の西奈良県民センター跡地について、住民有志の団体が県に対し売却しないよう求めている問題で、県は売却に向け、跡地を県立大渕池公園の都市計画区域から外す準備に入った。区域を変更するには、県都市計画審議会にかけるまでに、地元説明会の開催や変更案の縦覧が必要で、住民もこれらの機会に意見を表明できる。

西奈良県民センターを巡る動き
【1971年9月】西奈良県民センター完成
【1972年12月】県立大渕池公園の都市計画決定
【1981年度】大渕池公園、テニスコート、体育館を都市公園施設に
【2016年3月】西奈良県民センター廃止
【2016年4月】運動場と児童公園、都市公園として供用開始
【2019年3月】センター建物の撤去完了
【2019年6月】センター建物跡地を県の低未利用資産に登録
【2019年11月15日】「住みよい登美ケ丘をつくる会」が要望書提出
【2020年7月9日】奈良市に対し跡地の活用意向を照会
【2020年8月13日】奈良市が活用意向無しと回答、県が売却方針決定
【2020年10月20日】「跡地利用を考える会」(旧「つくる会」)に売却方針説明

 県公園緑地課、青少年・社会活動推進課、ファシリティマネジメント室に取材した。

 同センターは1971年9月に完成。その翌年の1972年12月、センター敷地を含む大渕池周辺の25万1000平方メートルが、県立大渕池公園として都市計画決定された。

 2016年3月のセンター廃止後の同年4月、敷地5987平方メートルのうち、併設されている運動場と児童公園は都市公園として供用開始が告示され、引き続き利用されることになった。

 一方、センター建物が立っていた方の土地2831平方メートルは、2019年3月の建物撤去完了後の2019年6月、県の低未利用資産に登録され、2020年8月、民間への売却方針が決定した。

 売却予定地を県立大渕池公園の都市計画区域から外すには、県は都市計画法などに基づき、原案を作成して地元説明会で意見を聞き、都市計画変更案を作成、縦覧に供しなければならない。住民・利害関係者は変更案に対し意見書を提出できる。県は意見書を付けて変更案を県都市計画審議会にかけ、承認を得なければならない。

 県公園緑地課は「都市計画変更の手続きに入るには土地の境界画定が必要で、その作業には入っている」とする。

 都市計画決定区域内の土地であっても売却は可能だが、都市計画法により建築に対する規制があり、県ファシリティマネジメント室は「公園の都市計画区域から外す手続きを公園緑地課にしてもらう」とする。

 センター敷地は県立大渕池公園の都市計画区域にあり、公園施設のように見えるが、都市公園としての供用開始には至っていなかった。都市公園法第16条は、公益上特別の必要がある場合などを除き都市公園の廃止を認めてないが、売却予定地はその対象にはならない。

 県公園緑地課は経緯について「センターは、県立大渕池公園として都市計画決定される前に完成しており、公園を管理する部局ではなく別の部局が管理していた」と説明する。

 センター跡地を巡っては、「西奈良県民センター跡地利用を考える会」(関口年弘・世話人代表)」が売却中止と防災施設を兼ねた文化活動などに利用できる公共施設の建設を求めて署名集めなどの活動を展開している。考える会は、今月末までに最低2000人の署名を集め、2月上旬に県に提出したいとしている。 続報へ

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