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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

記者余話)傍聴時の録音希望、門前払いしないで 奈良県議会委員会の取材

県議会の傍聴者に配布される注意書きは録音を禁じているが、完全に禁止されているわけではなく、議会の許可を得られれば可能

県議会の傍聴者に配布される注意書きは録音を禁じているが、完全に禁止されているわけではなく、議会の許可を得られれば可能

 現在開会中の奈良県議会9月定例会に合わせて開かれた委員会について、記者が傍聴時の録音許可を求めたところ、傍聴規則を理由に認められなかった。県政・経済記者クラブ加盟社には録音も撮影も認められている。開かれた議会への努力が求められる時代に、記者クラブ加盟社とそれ以外の傍聴者に差を付けるのはどうなのか。

 記者が録音を希望したのは、9月30日の総務警察常任委員会(奥山博康委員長)と10月15日の決算審査特別委員会(清水勉委員長)。それぞれの委員会の前日、議会事務局に電話し、取材目的であることを告げて許可を求めた。どちらも、議会事務局の返事は「録音は認められていない。インターネットで同時中継するとともに録画を公開しているのでそれを見てほしい」。門前払いにしないでほしいと思った。

 県議会傍聴規則は本会議や委員会の傍聴について、「傍聴人は、傍聴席において写真、動画等を撮影し、又は録音をしてはならない。ただし、特に議長等の許可を得た者はこの限りでない」と定めている。録音や撮影は完全に禁止されているわけではなく、それぞれの会議の長の許可を得られれば可能である。記者クラブ加盟社の録音や撮影もこの決まりに基づいて認められている。

 記者は総務警察常任委、決算審査特別委のどちらについても、議会事務局の返事に対し、録音の希望があることを委員長に伝えてほしいと求めた。事務局を通じてあらためて受け取った、委員長の回答といわれるものも「認められない」だった。記者クラブ加盟社以外の録音を認めないことが通例になっているのかもしれない。しかし、禁止が固定されたものでない以上、委員長の判断がいつも同じになるとは限らない。

 委員会では、傍聴者にも審議資料が配布されるが、インターネット中継ではこれを見たり、持ち帰ったりできない。インターネット中継の画像は粗く、発言者の表情や出席者の様子、会議の空気はつかみにくい。現場にいなければ得られない情報がいろいろある。

 加えて、録画の公開は委員会終了後、日を置いて実施される。その日のうちに委員の質問内容や県側の答弁を正確さをもってニュースにしようとするなら録音の意味は大きい。急がないにしても一般の傍聴者の中にはインターネットを閲覧できる環境のない人もいるだろう。委員会の公開は、傍聴者が正確に審議内容を記録できてこそ、実効性を持つ。

 総務警察委員会の奥山委員長に対しては、委員会当日の会議終了直後に廊下で声を掛け、なぜ許可してもらえないのか尋ね、録音の許可を求める理由を伝えた。同委員長は「研究させてもらう」と答えた。

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