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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県山添村メガソーラー計画地直下の水道施設を見学 奈良市民有志ら35人

村営の簡易水道「春日・大西地区」(第1水源地)を見学する奈良市民有志の人たち=いずれも2021年11月7日、山添村春日

村営の簡易水道「春日・大西地区」(第1水源地)を見学する奈良市民有志の人たち=いずれも2021年11月7日、山添村春日

メガソーラーの大規模造成計画地の直下にある村民の水道水源

メガソーラーの大規模造成計画地の直下にある村民の水道水源

 奈良県山添村の馬尻山(標高約500メートル)で民間業者が開発を予定しているメガソーラー計画地直下にある村民の水道水源を知ろうと、県民の有志約35人が7日、同村春日の村営水道施設を見学した。

 淀川水系名張川の源流域の一つ、通称ウメノキ谷川の上流。春日・大西の2地区の水道水源で、山から湧き出る渓流の水をポンプで直接取水し、すぐ下流の浄水施設に送水している。

 案内した「馬尻山メガソーラーに反対する会」共同代表の前村議、向井秀充さんは「大規模造成による水質、水量への影響が心配。さらに造成地の末端部は高さ30メートルの盛り土が幅200~300メートルにわたって計画され、土砂災害のリスクは高まるのではないか」と話した。

 同会によると、メガソーラーの開発予定地は81ヘクタール。平城宮跡の面積の7割近くに及ぶ。大量の山林が伐採される計画だ。奈良市の八木健彦さんら参加者はこの日、クマタカの飛来が確認されている計画地の広葉樹林も見学した。

 計画地のうち「約3分の1はまだ買収されていない」と同会は分析。うち春日地区と広代地区の共有地が相当な面積に及び、地区を構成する世帯の多数決などによる判断が注目される。

 参加者は帰路、奈良市の主要な水道水源、布目ダムを見学。案内した三宅正行村議は水没48世帯のうち43世帯が村に残る決断をし、村内の代替地に移転したことを解説した。魚類の宝庫だった昔の布目川を回想、一方、同ダムは副ダム機能を生かして頻繁なしゅんせつを行ったり、曝気(ばっき)循環施設を稼働させたり、水質の浄化に対する取り組みは一定の評価ができるとした。「今も村民はダム周辺の清掃奉仕に取り組んでいる」と話し、参加者は水源地の大切さに思いを巡らした。 関連記事へ

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