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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県域水道一体化協議 持ち寄り資産に新ルール 大和郡山市の主張に配慮 昭和浄水場も存続

持ち寄り資産の新ルールを提示した第5回奈良県広域水道企業団設立準備協議会=2022年11月29日、大和高田市内

持ち寄り資産の新ルールを提示した第5回奈良県広域水道企業団設立準備協議会=2022年11月29日、大和高田市内

 奈良県広域水道企業団設立準備協議会(会長・荒井正吾知事、県と26市町村)が11月29日、大和高田市内で開催された。奈良市の離脱を受けて、まだ参加を表明していない大和郡山市(給水人口8万5300人)への対策として、市が主張する資産の平準化と地下水源の存続に一定の理解を示し、市営昭和浄水場を企業団(一部事務組合)が受け継ぐ方針を示した。

 協議会は昨年1月の覚書時点の方針を大幅に改めて、参加市町村が持ち寄る資産の配分ルールを決め、この日、提示した。それによると、企業団に引き継ぐ資産から負債(企業債残高)を差し引き、各市町村の統合後30年間の投資見込み額に対する引き継ぎ資産が7%を超える市町村に対しては、統合後の10年間、7%を上回る部分に相当する金額を希望する水道施設の投資に充てることができる。

 一体化を主導する県と大和郡山市との最大級の対立点の解決に配慮したルール。同市水道事業の年間建設改良費は約7億5000万円(2021年度)。現在、協議会に参加している市町村中、給水収益に対する内部留保資金の比率が最も高いのは市部では葛城市だが、覚書締結以前では覚書に加わらなかった大和郡山市の82億円(2020年5月)がトップだった。

 奈良市離脱後、協議会が廃止予定だった地下水浄水場の存続を表明するのは、生駒市の真弓浄水場に次いで2例目。昭和浄水場は、県内市町村営の浄水場としては奈良市緑ケ丘浄水場に次ぐ施設能力。

 また、協議会が示した基本計画案には、コンセッション事業や民営化を行わないことが明記された。懸案の企業団議会の議員の定数は2023年度中に整理するとして論議を持ち越した。

 協議会は2025年4月1日の水道事業統合を目指して、来年2月に基本計画を決定。県、市町村は3月の議会定例会に法定協議会の設置を提案する。

 オブザーバー参加した大和郡山市上下水道部は「仮に一体化に参加することになると、水道会計から一般会計に移した28億円を元に戻すことになる」と話した。 関連記事へ

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