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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

水道一体化「情報公開もっと」請願採択 奈良県大和郡山市議会、会議公開や一般傍聴求め

奈良県域水道一体化の情報公開を求める請願を賛成多数で採択した大和郡山市議会=2023年12月15日、同市役所

奈良県域水道一体化の情報公開を求める請願を賛成多数で採択した大和郡山市議会=2023年12月15日、同市役所

 奈良県域水道一体化の受け皿となる県広域水道企業団(一部事務組合)設立準備のための協議会について、報道陣への会議の非公開や一般の傍聴を認めていないことに対し、大和郡山市議会は12月15日、県に情報の公開を働きかけるよう市に求める市民の請願を、賛成多数で採択した。

 同協議会は今年10月の第2回協議会から、報道陣に対しても会議を公開していない。協議会の事務局を務める県水道局県域水道一体化準備室によると、第2回協議会については議事録も作成されていない。奈良県で戦後最大級の水道事業の変更となり得る水道一体化計画を巡り、市民からも情報公開の拡充を求める声が上がった。

 この日は12月定例会最終日。11日の建設水道委員会は請願に反対する委員が「県域水道一体化についてきちんと情報を得ている。情報公開は十分」との見解を示し、市側も「今後も最大限に伝える」と答弁。採決の結果、反対多数で不採択になっていた。

 請願に賛成する議員は15日の本会議で、県主導の一体化計画により中心市街地にある市営郡山北浄水場(水源・地下水)が廃止となる方針が打ち出されていることを巡り「市は市民に広報していない」と訴えた。

 一体化への参加について市議会の賛否は拮抗。来年9月議会で上田清市長が企業団設立議案を提出、採決により大和郡山市の参加・不参加が正式に決定する。

 13日の定例会一般質問では、今年1月10日発行の市広報「つながり」が一体化に参加する料金面でのメリットや老朽水道管改修促進などをアピールしていた内容を巡り「来年9月の議決を前に一方的な情報提供に当たる」として批判する意見が出た。

 「奈良の声」は県情報公開条例に基づき、企業団議会の構成案や各市町村が今後必要としている水道施設への投資額など協議の資料を開示請求したが、不開示項目が多かった。

 県水道局は、一体化に関わる将来の財政収支の推計については日本水道協会が発行した「水道料金改定業務の手引き」などを参考にしている。同協会は料金改定時などに公開すべき情報を例示しており、家計や事業に及ぼす影響をはじめ、職員定数の推移、漏水率の現状、他事業者との料金比較など、公開すべき範囲は広い。 関連記事へ

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