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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

記者余話)採決賛否の数、議場で明瞭にするには 奈良県大和郡山市議会、水道一体化関連の請願採択を取材して

奈良県域水道一体化の情報公開を求める請願を賛成多数で採択した大和郡山市議会=2023年12月15日、同市役所

奈良県域水道一体化の情報公開を求める請願を賛成多数で採択した大和郡山市議会=2023年12月15日、同市役所

 奈良県域水道一体化の受け皿となる県広域水道企業団(一部事務組合)設立準備のための協議会について、情報公開の在り方の改善を求めた大和郡山市民の請願を同市議会が12月15日、賛成多数で採択したが、賛成、反対の確実な数を議会事務局から聞けたのは後日だった。

 同市議会の採決の方法は挙手。あっという間のことで傍聴席から数えるだけでは不確かだ。かといって議長はその場では数を明らかにしない。分かりやすい議会を目指して在り方を見直してほしい。

 記者は当日、傍聴席にいたが、正確な賛否の数が分からなかった。議会事務局に尋ねたが即答は得られなかった。理由は、来年2月1日の市広報紙「つながり」に12月定例会の議案に対する各議員賛否の状況が掲載されるが、その前に賛否を公表してよいか、12月19日開催の議会運営委員会協議会(非公開)に諮る必要があったためという。判断は西川貴雄議長に委ねられ、同議長は公表を了承した。

 これを受け議会事務局から回答があった。採決の結果は賛成13、反対6だった。各議員の賛否も明らかにした。賛否の数は、議会事務局職員2人が議場の左右に分かれて数えたという。

 今年3月の定例会では水道一体化の関連議案が可決されたが、賛否は1票差だった。傍聴席にいた記者はやはりその場では賛否の議員を数えきれなかった。

 同じ時期、大阪府和泉市議会が同市と周辺7市による水道の経営統合関連議案を採決をすることになり、記者は傍聴席で取材した。議案は1票差で否決されたが、議場には押しボタン方式による賛否の電光掲示板があり、賛否の数をその場で知ることができた。

 和泉市議会事務局によると2021年5月の新庁舎完成により電光掲示版が実現した。大和郡山市役所の庁舎も昨年、完成したばかり。挙手による採決のスタイルが「知る権利」に4日間の空白を生じさせたと言える。

 総務省行政課によると、全国の市議会の電光掲示板普及率をまとめたデータはない。

 今回の大和郡山市民の請願は、26市町村と県営水道が参加する一体化の協議を巡り、山下真知事が会議を非公開にしたことなどへの批判がある。

 請願の紹介議員は保守系最大会派の豊政・日本維新の会幹事長丸谷利一議員、共産党の徳野衆、上田健二、北野伊津子の各議員。採決では公明党の3議員も賛成に回った。

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