奈良県:奈良市西ふれあい広場問題、当初計画「進入路に私道を利用」、当時の市次長証言、取得山林に接続道路なく

2013年8月28日 浅野善一
↑西ふれあい広場への進入路として当初、利用が予定されていたテニスクラブの私道。奥に同広場用地がある=2013年8月27日、奈良市二名7丁目と生駒市辻町の境界付近
↑奈良市作成の西ふれあい広場用地の地図(取得年度ごとに塗り分け)に、阪奈道路から通じる私道(赤線の部分)と一条富雄線の計画ルートを加えた=記者による

 奈良市土地開発公社(2013年3月解散)の巨額の借金の原因の一つとなった、市の西ふれあい広場計画で、市が当初、進入路として予定していたのは私道だったことが、当時、担当の市都市計画部次長だった元職員の話で分かった。市が同広場用地として公社に先行取得させた山林には、公道が接続していなかった。元職員は同職に就いた際、公共施設の進入路に私道を使うのはふさわしくないとして、計画の見直しを行っている。

 同広場用地の取得をめぐっては、土地所有者個人の便宜を図るため、買い取りありきで進められたとの指摘がある。進入路の問題は、計画より先に土地の取得が目的としてあったことをうかがわせる。

 西ふれあい広場の基本計画が作られたのは1993年度。自然林を生かして障害者と健常者が触れ合える多目的な公園として、同市二名7丁目の約9万5000平方メートルの敷地に福祉センターや芝生広場、体育館、ゲートボール場、野球場、アスレチック広場、水辺の広場を整備するとした。

 公社は同年度から2000年度にかけ、山林など約4万8000平方メートルを約18億円で取得した。しかし、市の用地買い戻しまで至らず、計画は頓挫。用地は塩漬けとなり、取得した際の借金が残った。

 元職員は94年度に都市計画部次長に就任した。同広場については、計画を見直したことから「よく覚えている」とした。担当の同部公園緑地課から説明を受けた際、「二つの点が引っ掛かった」という。一つは、進入路として私道の利用を予定していたこと。私道は、広場予定地の西隣にある民間のテニスクラブや、広場予定地の北にあるゴルフ場が、阪奈道路からの進入路として設置している。もう一つは、県が都市計画決定した一条富雄線の計画ルートが、用地を東西に縦断していること。南北に分断された広場は歩道橋で結ばれることになっていた。

 元職員は「これだけ大きな公共施設の進入路に私道を使うのは駄目。危険性がなく、快適性が求められる公園が道路で分断されているのも良くない」として、公園緑地課に基本計画の見直しを指示したという。翌95年度、一条富雄線を広場の北に迂回(うかい)させる基本計画が作られた。広場の分断は解消された。また、阪奈道路の手前で途切れていた一条富雄線の計画ルートを同道路まで延ばし、進入路となるようにした。

 広場が都市公園として都市計画決定されれば、国から事業費用の2分の1の補助を受けることができ、市民の負担も減らせるが、進入路が私道では都市計画決定は難しいという。元職員は「当初、市は市の単独事業として広場を整備しようと考えていたのではないか」と想像する。当時の大川靖則市長や辰野一郎助役(故人)は、広場の福祉センターなどの実現に強い意欲を示していたという。

 市はこの後、一条富雄線の計画ルート変更を県に提案する予定だったが、同広場の計画が頓挫し、提案には至らなかった。

 93年度の当初の基本計画では、同広場の西側は阪奈道路に接する形になっていて、そこに進入路を設ける案が示されている。私道を進入路とする案も検討されたが、最終的には採用されていない。元職員の話と一致しないが、実際には阪奈道路に接する土地の取得もできていない。

 市の第三者委員会「市土地開発公社経営検討委員会」は2011年に公表した報告書で、同広場用地の取得について、市議や国会議員の口利きがあったことを示す関係者の証言などから、必要性が十分に検討されなかった可能性や、買い取り額が高額に設定された可能性があると指摘している。元職員は指摘されているような事実は知らなかったとし、「当時、高齢社会に備えた福祉施設の整備はあっても良いと思った。用地の取得が無駄だったかどうかは後世が判断すること」と話している。

 西ふれあい広場をめぐっては長く、計画の詳細が不明だった。関係書類が残っていないためとされていたが、ことし4月、市の資材倉庫に93年度の当初の基本計画やこれを見直したとみられる95年度の基本計画などが残っていたことが分かった。庫内の整理中に偶然、見つかった。

10月1日に損害賠償求める住民訴訟の第1回口頭弁論

 西ふれあい広場の用地取得問題で、市市民オンブズマンの桐山幸矩代表幹事ら4人が、市を相手取り、当時の大川靖則元市長らに損害賠償請求するよう求めた住民訴訟の第1回口頭弁論の期日が決まった。10月1日午後1時15分から、奈良地裁で開かれる。

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