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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

奈良県が県庁横の歩道撤去 観光バスターミナル整備で車道拡幅 歩行者は隣接の広場通路へ回り道

歩道が撤去され、車道が拡幅された奈良市道

歩道が撤去され、車道が拡幅された市道。一番右の左折車線の所に歩道があった。撤去後も路肩を歩く人がいる。右の建物は県庁、左の緑地が県文化会館広場=2015年4月16日、奈良市登大路町

歩道(左)が撤去される前の市道。建物は県庁

歩道(左)が撤去される前の市道。左の建物は県庁=県が奈良市に提出した車道拡幅工事の2014年12月15日付工事着手届出書から(記者の開示請求に対し奈良市が開示)

県が歩道の代わりとする県文化会館広場の通路

県が歩道の代わりとする県文化会館広場の通路。点字ブロックが設置された。左が市道で、道路左側に歩道があった。ベビーカーを押して路肩を歩く人の横を、車がよけるように走っていった。左奥は県庁=2015年4月18日、奈良市登大路町

撤去された歩道の位置図

撤去された歩道と、歩道の代わりという県文化会館広場の通路、観光バスの動線を図で示した(「奈良の声」作成)

 奈良県が、奈良市登大路町の県庁隣の県営駐車場跡地に観光バスターミナルを整備するのに伴い、県庁横の道路の歩道を撤去、車道を拡幅した。歩行者には、歩道の代わりとして隣接の県文化会館広場の通路を案内しているが、幅は歩道に比べると半分ほど。撤去後、車すれすれに道路の路肩を歩く人の姿も絶えない。

 道路は奈良市道で、市も県の工事を承認した。

 同市道は、県庁と県文化会館の間を南に抜けて、国道369号(通称大宮通り)と交差している。歩道が撤去されたのは、同交差点までの100メートル余りの区間。同区間の道路の全幅は約10メートルで、対面通行の車道に加え、幅2.4メートルの歩道が東の県庁側にあった。

 歩道は、北側に広がっている住宅地の住民のほか、県庁や隣接する県立美術館、県文化会館の入館者、奈良公園の観光客などが利用していた。

 県道路環境課によると、同市道は観光バスターミナルから国道369号に出る通路になる。バスの通行量が増すことから、歩道を撤去した交差点までの区間でバスが2台横に並ぶことができる右左折車線の確保を図った。

 工事は昨年11月からことし3月にかけ、約3000万円を掛けて行われた。国道に出る南行き車線の幅を3.6メートルから6メートルに広げ、幅各3メートルの右左折車線を設けた。道路構造令の規定に基づいた。拡幅前の右左折車線は、乗用車が並ぶのにぎりぎりの幅だったという。対面の北行き車線の幅は工事以前と同様3メートル。

 一方、撤去した歩道の代わりとして県が案内している県文化会館広場の通路は、市道の西側にある。市道に最も近い通路は道路にほぼ並行してはいるが、県文化会館によると幅は1.2~1.3メートルで、歩道に比べると半分ほど。県はこの並行している通路に新たに点字ブロックを設置した。

 道路法により、道路管理者以外が工事を行う場合、道路管理者の承認が必要となる。奈良市土木管理課によると、県から車道拡幅の申請があった当初、歩道を撤去するのは具合が悪いのではないかと受け止めたという。県から、県文化会館広場の通路に歩行者を誘導し、安全を確保する▽現場に通路への案内看板を設置して周知を図る▽県が一切の責任を持つ―などと説明があったことから、承認したという。

 市土木管理課によると、同市道が台帳に記載されたのは1920年。歩道がいつからあるのか確認できる文書はないという。一方、県文化会館によると、同広場ができたのは1968年の会館完成時。また、市土木管理課の担当者は取材に対し、市の管理する道路で歩道を撤去した例は記憶にないとした。

 観光バスターミナル「登大路ターミナル」は、県庁東隣の県営登大路観光自動車駐車場跡地に整備される。県道路環境課によると、開業は2018年4月の予定。計画では、観光バス10数台分の駐車場のほか、パークアンドバスライドのシャトルバスや奈良公園周遊バスの発着場をつくる。

 バスは国道369号に面した南側の入り口から入るが、出口は別で北側に設ける。このため、国道に出るのに同市道などを通行することになる。こうしたバスの動線は、ターミナルの地理的条件や周辺の道路環境などから決めたという。

 歩道が撤去された後も、車道の幅50センチの狭い路肩を歩く人が絶えず、車がそれをよけるように走っている光景が見られる。県道路環境課は、歩行者を広場通路に誘導する案内看板をゴールデンウイークまでに設置するとしている。

 近くの40代の自営業男性は「不便だが、渋滞緩和という点ではいいのかな。ただ、バスの出口になるのは知らなかった」と話した。別の自営業男性(69)は「安全面を考えれば、歩道はあった方が良かった。右左折車線を確保したぐらいで、バスをさばけるのか」と懸念を口にした。

 また、別の自営業男性(65)は、白線で区切られた路肩を新しい歩道と考えていたといい、「車道を広くして、歩道を狭くしたとばかり思っていた。看板などで誘導の矢印を付けておかないと、歩道が撤去された跡をこれまで通り歩いてしまう。子供連れや年寄りは危ない。道路に面している文化会館広場の築山を削って後退させたら、良い歩道ができたのに」と指摘した。

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