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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
ジャーナリスト浅野詠子

関西広域)太平洋戦争中の特撮人形劇映画、制作現場の写真見つかる 人形は浅野孟府作

「ラーマーヤナ」の人形を手のひらに載せ、語りかけるような表情の浅野龍麿。人形を操るスタッフも写る=浅野テルさん提供

「ラーマーヤナ」の人形を手のひらに載せ、語りかけるような表情の浅野龍麿。人形を操るスタッフも写る=浅野テルさん提供

動画共有サービスにより鑑賞できる「ラーマーヤナ」。人形は浅野孟府作とされる

動画共有サービスにより鑑賞できる「ラーマーヤナ」。人形は浅野孟府作とされる

 太平洋戦争中に撮影された東宝の特撮人形劇映画「ラーマーヤナ」の制作現場をとらえた珍しい写真がこのほど東京都内で見つかった。映画は糸あやつりの人形を操作して撮られており、人形の作者は、関西における新興人形劇の草分け的存在、彫刻家・浅野孟府(1900~1984年)とされる。

 写真は約40枚あり、いずれも1冊のスクラップブックの中に収められている。同映画の制作に携わった孟府の実弟、故・浅野龍麿の長女テルさん(71)が昨年12月、神奈川県内から東京都国分寺市内に転居する際、引っ越しの荷物を整理しているときに偶然、出てきた。

 「ラーマーヤナ」は東宝の名プロデューサー森岩雄が企画したといわれる。脚本は、戦後の人気テレビドラマ「月光仮面」の原作者、川内康範が書いた。発見された写真には、人形を手のひらに載せて眺めている龍麿や、舞台の背景をなす城、山並み、撮影に携わったスタッフらが写っている。

 制作年とされる1942年は、孟府が東宝映画「ハワイ・マレー沖海戦」の真珠湾の模型などを製作した時期と重なる。孟府の次男、故・潜さんによると、孟府の下に東宝から特撮美術の仕事が入ったとき、大阪府北河内郡四条町(現・大東市)のアトリエに彫刻を習いにき来ていた利光貞三(後の映画「ゴジラ」の怪獣造形者)を一緒に連れて、東京の撮影所に向かったという。

 「ラーマーヤナ」はインドの叙事詩をヒントにしたといわれる。映画の記録はほとんど見つかっていない。渡辺康氏らが1978年に著した「日本アニーション映画史」には、孟府・龍麿兄弟が中心になって完成させたとある。2013年には、石橋春海氏が監修した本「60年代蘇(よみがえ)る昭和特撮ヒーロー」に川内康範のインタビューが載った。川内は戦前に東宝に入り、円谷英二率いる特撮部門に配属され、円谷の指南により「ラーマーヤナ」の脚本を書いたと語っている。

 テルさんは「父がいつごろ写真を貼りつけていたのか分かりません。スクラップブックは現代の文具店では売っていないような古い型だなと思います。父と兄の孟府さんが一緒に撮影現場の近くと思われる場所で写っている1枚も収められています」と話している。【関連記事へ】

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