生駒市「金鵄の杜 倭苑」廃止 高齢者の浴場対策 民間銭湯で助成クーポン利用可能に
生駒市の生きいきクーポン券、使用ガイド、市役所のコラージュ(クーポン券と使用ガイドは市ホームページから)
奈良県生駒市は、老朽化を理由に市高齢者施設「金鵄の杜 倭苑(きんしのもり・やまとえん)」を今年3月末で廃止したが、施設の浴場を利用してきた人への対策として、市内の民間の銭湯2施設の利用について助成を行うことを決めた。市が高齢者らを対象に発行している交通費等助成制度「生きいきクーポン券」を利用できるようにした。
倭苑は2003年、市内の高齢者と子供の交流を目的に開設され、浴場や研修室、貸し室、カラオケルーム、多目的グラウンドなどを利用できた。特に浴場が高齢者に喜ばれ、施設利用者の7割を占めた。浴場の使用料は高齢者の場合、60歳以上75歳未満が100円、75歳以上が無料だった。施設の利用者は常連がほとんどで、高齢者らのコミュニティーができていた。
廃止条例案が提出された昨年の市議会12月定例会では、渡辺泰子さん(80)ら存続を願う利用者の署名提出を受け、施設の存廃や代替案を巡って議論が戦わされた。渡辺さんは、廃止条例案可決後も利用者を対象に「生きいきクーポン券」を活用した市内の銭湯との提携などについてアンケートを行い、今年1月、結果を小紫雅史市長に提出していた。
市福祉政策課などによると、クーポン券は1万円分の金券として使用できるもので、500円券が20枚つづられている。市内の交通機関や市公共施設などで利用できる。本年度は73歳以上の高齢者と障害者合わせて約2万5000人に交付され、6月1日から来年2月28日まで使用できる。5月2日に発送を開始した。
クーポン券利用の協力が得られた銭湯2施設は、同市小平尾町の「音の花(ねのはな)温泉」と同市本町の「パレス温泉」。「音の花温泉」では500円券1枚で1回の入浴ができ、「パレス温泉」では4100円の回数券(10回分)の購入に使用できる。
日帰り入浴もできる市の余暇施設、生駒山麓公園ふれあいセンターは、以前からクーポン券を利用できる。ただ、倭苑の代替施設としての検討をする中で、休憩場所が足りないとの声があったことから、同センター1階ロビーに倭苑で使用していたソファを持ち込み拡充を図ったという。
このほか娯楽関係の代替施設については、カラオケルームは市高齢者交流施設「RAKU-RAKU(らくらく)はうす」、麻雀などは市内のさまざまな市公共施設を利用してほしいとした。
市福祉政策課は「倭苑で利用者が多かった浴場の対策が重要と考え、民間の浴場施設に声を掛け、生きいきクーポン券のメニューに追加した」と話している。