県市長会長の天理市長が原案 今年5月、奈良市に県域水道一体化参加求める意見書
奈良市、大和郡山市に対し、県域水道一体化への参加を求める意見書に託した思いを語る並河健天理市長=2022年9月8日、同市役所(浅野善一撮影)
27市町村水道と県営水道との事業統合・統一料金を一気に目指す県域水道一体化構想への参加に慎重な奈良市に対し、大半の首長が連名で参加を求めて今年5月に送った意見書( 既報)は、県市長会長でもある並河健天理市長が原案を作成していたことが分かった。同市長は9月8日、「奈良の声」の記者に対し、原案作成の経緯について語った。
「奈良の声」は、この「県域水道一体化に向けた意見書」作成の経緯を確かめるため、意見書に名前を連ねた複数の市に対し、原案やその作成者が分かる文書の開示請求を行った。これに対し、天理市から原案の開示と併せて、市長本人が経緯について説明するとの申し出があり、同日、記者が取材した。
並河市長によると、同市長が作成した原案に対し、中南和の市町村長らの意見を受けて、県営水道(主要水源=大滝ダム、室生ダム)が人口増加時代から安定供給を果たしてきた役割を書き加えたという。
並河市長は「奈良市は水道管の耐震化が遅れており、一体化に参加するのは市にとっても有利」とし、改めて同市が参加するスケールメリットの意義に言及した。
大和郡山市長にも意見書
また、開示された原案は、仲川げん奈良市長、上田清大和郡山市長の2氏に宛てたものになっており、意見書が大和郡山市長にも送られていたことが分かった。大和郡山市は、内部留保資金についての考え方の相違から一体化への参加を決めていない。
同意見書は、県と27市町村長でつくる県広域水道企業団設立準備協議会(会長・荒井正吾知事)としてではなく、市町村長の連名で両市に送られた。「奈良の声」はこれまでに、奈良市から情報公開制度に基づき意見書の開示を受けていた。意見書に名前を連ねたのは25市町村長および県町村会長の天川村長で、葛城市の阿古和彦市長は、意見書への賛同を見送っている。
並河市長は、県市議会議長会(会長・川田裕香芝市議長)が10月3日、奈良市内のホテルで一体化をテーマに開く議員研修会の講師も務める。
並河市長は「市長会長としてではなく、一市長として、できれば一個人としても水道広域化を推進することの使命を訴えたい」と話した。 関連記事へ