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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

【詳報】水道一体化、奈良市の参加見送り受け入れ 知事「判断尊重したい」 大和郡山市への対応策示す考えも

奈良市の県域水道一体化構想参加見送りへの対応について述べる荒井正吾知事=2022年10月5日、県庁(浅野善一撮影)

奈良市の県域水道一体化構想参加見送りへの対応について述べる荒井正吾知事=2022年10月5日、県庁(浅野善一撮影)

 荒井正吾知事は10月5日の定例会見で、奈良市の仲川げん市長が県域水道一体化構想への参加見送りを表明したことについて、「熟議の上、メリットとデメリットを判断されたと思うので尊重したい」と受け入れる考えを示した。一方、一体化に向けた日程について、奈良市が抜けたことによる変更はないとした。

 知事は奈良市の参加見送りについて、「広域化に参加するのは(水道管路などの)老朽化対策を真剣にしたいという市町村が中心。奈良市は水道料金が中心で、それと下水道との一体経営という奈良市流儀の経営を貫きたいとする志向が強かったという印象」と感想を述べた。

 また、奈良市が有識者らの意見を聞くため設置した懇談会について、「県が提示した老朽化対策の資料が入っていない。県が言っていることが議論になっていなかったという人もいた」と批判した。

 国からの交付金については、広域化事業の3分の1とされていることから、奈良市が抜けることで事業の規模が縮小すれば額も減るとした。県が示している国の交付金と同額の財政支援の額も減るとした。

 今後の対応については、10月13日の首長レベルの協議会で、奈良市を除く市町村で一体化した場合の水道料金や投資額などの見通しを示すとした。この際、一体化参加に当たって課題がある大和郡山、生駒、葛城の3市それぞれに、対応策を示す考えも明らかにした。知事は「腹案はあるが、まだ調整が必要なのできょう時点では具体的なことは公表できない」との説明にとどめた。

 大和郡山市は内部留保資金の一部を一般会計に移したことが参加の条件に反するとされている。生駒市は9月21日の論点検討部会で「議題としていた累積欠損金にまつわる課題、上下水道一体化の課題が取り上げられなくなった」と述べている。葛城市は、今後の自己水源比率の変動によりセグメント方式(別料金)の見直しの可能性もあることが懸念材料になっている。

 知事は、県域水道一体化を巡る顛末(てんまつ)記をまとめる考えも明らかにした。知事は「一体化の経緯はどうだったのか、判断はどうだったのか後世の人が振り返られるようにしたい」と述べた。

 仲川市長は10月4日、「県最終提案の追加財政支援などでは市民の利益につながらない」などとして、県域水道一体化構想への参加を見送ることを表明した。

 一体化構想は当初、2025年度に県内28市町村の水道と県営水道を統合する計画だったが、大和郡山市が内部留保資金の問題で2021年1月の一体化に向けた覚書に参加しなかったため、27市町村で協議が進められていた。奈良市の参加見送りで参加は現段階で26市町村となった。 関連記事へ

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