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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

大和郡山、葛城、生駒3市の反応は 知事の提示予告、参加への対応策 13日の広域水道企業団設立準備協

奈良県営御所、桜井浄水場を遠方監視制御する県水道局広域水道センター=2021年9月、大和郡山市満願寺町

奈良県営御所、桜井浄水場を遠方監視制御する県水道局広域水道センター=2021年9月、大和郡山市満願寺町

 奈良市が離脱した県域水道一体化構想は大幅な変更を余儀なくされる中、一体化の方向を決めるための県広域水道企業団設立準備協議会(会長・荒井正吾知事)が10月13日、開かれる。荒井知事は、一体化の参加に当たり課題がある生駒、大和郡山、葛城の3市それぞれに対応策を示したいと5日の定例記者会見で述べているが、決め手になるのか。

 3市とも自己水源を有し低廉な水道を維持する団体。いずれの市でも、一体化について市に説明などを求める請願が住民から議会に提出され、採択されている。

 生駒市の水道は一体化協議会参加26市町村中、内部留保資金が最大で無借金経営。一体化のメリットをどう見極めるのか注目される。市上下水道部は、離脱した奈良市が施設の共同利用に意欲を見せていることから「13日の協議会は、生駒市が浄水場を廃止した後に奈良市緑ケ丘浄水場から給水を受けられるような管路の連結提案が県からなされるものと予測する」と話す。

 26市町村中、自己水源比率が80%と最も高く、水道料金が県内一安い葛城市に対し県はすでに統一料金の原則を適用せず別料金(セグメント会計)の特例を提案している。一方、主水源のため池の一部に流入量が不安定な池があり、県営水道の受水を増やす予測もあり、一体化料金の試算にも微妙な影響が出る可能性がある。

 同市上下水道部は「知事会見で本市の名前が出ていることは報道で知った。どんな提案をされるのかまったく予想がつかない」と漏らす。

 大和郡山市は2020年6月、一体化に参加することを念頭に水道会計の内部留保資金28億円を一般会計に移転したことで知事と対立し、昨年1月、一体化への覚書を交わさなかった。一方、同市に参加を求める他市長らの意見を受け、同協議会にはオブザーバーとして参加。13日には市上下水道部長、業務課長が出席する。

 同市の自己水源比率は50%。大滝ダムを主水源とする県営御所浄水場からの受水も同比率。現状は、県水を買うより、自前で水道を製造する方がコストが低い。市議会内部には、市営の地下水浄水場の多面的な価値を擁護する意見もある。

 県が打ち出した一体化構想は、これら3市の浄水場計7カ所を廃止する。

 奈良市の離脱により企業団参加予定市町村のうち最大給水人口の橿原市はすべての水を県営御所浄水場から仕入れている。かつては旧市営八木浄水場が地下水をくみ上げたが、自己水比率は2割にまで低下。2016年、県営水道100%の受水に転換した。

 同市上下水道部は「奈良市や大和郡山市などを舞台にこれまで議論されてきた一体化が自分たちの市町村に損か得かという観点ばかりでは共感できない。あくまで全体最適化という理想を追求し、水道広域化を成し遂げたい」と話す。 続報へ

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