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浅野善一

奈良県桜井市民会館 耐震問題で休館から3年 文化の拠点求め署名1900人

桜井市が「一時休館」を決めてから3年が過ぎた市民会館=2024年5月8日、同市粟殿

桜井市が「一時休館」を決めてから3年が過ぎた市民会館=2024年5月8日、同市粟殿

 音楽公演などで住民に長年親しまれてきた奈良県桜井市粟殿の市民会館(1200席)が3年間、休館している。2020年度の市の耐震診断で、大地震で倒壊する危険性があると判定された。安全対策を優先しての措置だが、解体や改修、新築など今後の在り方はまだ決まっていない。市民らが早期の整備を求めて松井正剛市長宛ての署名を集めており、現在、その数は1900人に上っている。

 市民会館は1981年の建設。当時、県内の市町村営の施設としては先駆け的なホールと注目された。

 突然の休館で予定していた音楽公演ができなくなり、やむなく他市の文化ホールを借りた音楽団体も。休館に伴い市は、庁内各課を集めた横断的な「市民会館および(隣接の)中央公民館在り方検討プロジェクト会議」を設置、9回にわたる会議で打開策を探ったが結論は出なかった。

 このため市は2024年度予算で「市民会館在り方検討業務」に1100万円を計上した。コンサルタント会社の知見を得ながら除却するのか、直営で新築や大耐規模改修をするのか、あるいは民活導入はどこまで可能かなど、事業予算を踏まえた具体的な課題整理を行っている。市教育委員会社会教育課は「年度末の来年3月までに選択肢が整理される」としている。

 署名を集めているのは「桜井市民ホールの建設を実現させる会」(鈴木靖夫代表世話人)。同市音楽協会、桜井混声合唱団などが呼び掛け団体となった。市に対し、市民会館に代わる施設の早急な整備を求める。

 市民会館は美しい音色で知られるスタインウェイグランドピアノを保有しているが、2022年3月から天理市の県なら歴史芸術文化村に無償で貸している。市民会館休館に伴い、代替の施設として中央公民館の大会議室(200席)、市立図書館研修室(300席)が利用されている。同図書館研修室には舞台はあるものの構造上グランドピアノを置けないなど不便がある。市民会館も、筒抜けの天井構造や舞台両袖の空間が音響上の課題となっていた。

 「実現させる会」を構成する「文化を考える桜井市民の会」はこれまで、市民会館のホワイエで無料のランチタイムコンサートを定期的に催し、市民を楽しませてきた。逆境の音楽環境の下で会場を中央公民館に移し、活動を続けている。同会事務局の音楽家、土家倫子さん(マリンバ奏者)は「まずは文化政策に対する市の考え方をはっきりさせてもらいたい」と話す。

5月19日に「奈良の声」記者が講演

 「文化を考える桜井市民の会」は市民会館休館に伴う地域の文化空間の在り方について、第三者の意見を聞く機会として「奈良の声」記者浅野詠子の講演会を5月19日午後1時30分から桜井市粟殿の市中央公民館大会議室で開く。入場無料。

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