浅野善一
記者余話)奈良県議会予算委 県営プール跡地観光拠点整備事業めぐり、お粗末質問
3月18日の奈良県議会2月定例会予算審査特別委員会(田尻匠委員長、12人)。県が奈良市の県営プール跡地一帯で進める観光拠点整備事業をめぐって、委員の怠慢ではないかと思われるお粗末な質問があった。
同事業は、核となる国際級ホテルを誘致する事業と、大会議場・屋根付き大規模広場・料飲物販施設などを整備する事業から成るが、質問した与党会派の委員は二つの事業の区別がついていなかった。
前者は、ホテル建設を前提に用地となる県有地を森トラスト(東京)に売却することになっており、同社は3月3日、JWマリオットホテル(アメリカ)の誘致を発表した。後者は、民間の経営能力や技術的能力を活用するPFI方式を採用。県は、施設の設計・建設から維持管理・運営までを行う企業の共同体を公募、完成した施設を取得した上で、運営を任せる。県は3月中に落札者を決定する。
同委員は、「PFI方式の採用により、県と森トラスト、マリオットホテルの契約関係はどのようになっているのか」という趣旨の質問をした。二つの事業を混同していた。答弁した県企業立地推進課長との間でかみ合わないやり取りが続いた。同課長が「ホテルはPFIに含まれておりません」と説明して決着した。
県営プール跡地観光拠点整備事業の進め方はこれまでに公表されている。PFI方式により大会議場などを整備する事業では、県は施設の設計・建設に約200億円を投じる。巨額の支出が伴う事業について、基本的な点を事前に確認もせず質問に臨む姿勢で、監視役としての議員の役割を果たせるのだろうか。