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朝堂院広場舗装 着工延期 強行批判回避か国交省、住民ら対象の説明会で明らかに
奈良市佐紀町の平城宮跡(特別史跡)で、国土交通省が国営公園事業の一環として第一次朝堂院広場の草地を舗装しようとしていることに対し、市民団体が工事中止を求めている問題で、同省は10日、奈良市登大路町の奈良商工会議所で、住民らを対象にした説明会を開いた。同省は着工が来年に延期になったことを明らかにした。入札のやり直しが必要になったためとしたが、「強行」との批判を回避する狙いもありそうだ。 同省近畿地方整備局国営飛鳥歴史公園事務所の大石智弘所長の説明によると、このほど舗装工事の一般競争入札を実施したところ、入札の額が想定したよりも低く、中規模の業者でも工事ができることが分かったという。このため大手だけだと公平性を欠くことになると判断、やり直しを決めたとした。 工事は、広場4万5000平方メートルに盛り土(厚さ約80センチ)を施し、路盤の砕石(同10センチ)を敷き、土系の素材で舗装(同10センチ)する。盛り土は地下の遺構を保護するためとし、舗装はセメントを重量比で4%混ぜた真砂土をつき固めるもので、透水性があるとしている。工費は盛り土が1億1000万円、舗装は当初の説明で1―2億円。 同事務所は広場舗装について先々月の9月20日に記者発表、同25日に草刈りを開始、現在、広場の周囲を巡る側溝の工事が進んでいる。 この日、150席の説明会場は住民らでいっぱいになった。大石所長は冒頭、「新聞報道や反対署名は説明不足、誤解に基づくもので、丁寧な説明をしたい」と開催の趣旨を述べた。文化庁記念物課の担当者は、朝堂院広場の舗装を含む平城宮跡中心部の復元整備について「史跡の価値を実感してもらうため必要」と説明した。大石所長は今後の公園整備の流れについて説明した。 住民らからの質問や意見は舗装に対する抗議が多数を占めた。1人は、公園基本計画には都市部の緑地として自然環境を創出するとあるが、基本計画検討委員会に自然の専門家が1人もいないと指摘した。別の1人は、舗装に伴って設けられる調整池の場所はツバメのねぐらとして知られる湿地だが、湿地は保持することができるのかと指摘した。一方、国交省の説明に拍手する参加者の姿もわずかだがあった。 工事中止を求めている「平城宮跡を守る会」の人たちも参加。寮美千子代表は、これまでに全国から寄せられた多数の署名や手紙を会場で示し、これだけ多くの人が舗装に反対していると力説した。同会は広場舗装に対し、緑地の減少や地下水の減少による木簡など地中の遺物への影響を懸念している。 |
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