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奈良県市町村総合事務組合 仕組債損失報道後、市町村への説明は紙1枚 運用の中身には触れず奈良県内の市町村職員などの退職手当支給事務を行っている県市町村総合事務組合(管理者、小城利重・斑鳩町長)が投機性のある仕組債を買い、売却による元本割れで20億円の損失を出した問題で、「奈良の声」は、組合が報道に対する見解として市町村に配布した資料を入手した。資料は紙1枚だけの簡単なもの。内容も、売却は退職手当資金確保のためのやむを得ない措置で、損失は過去の運用益でカバーできるという従来の説明にとどまり、仕組債そのものには全く触れていない。資料の全文 >> 組合は、市町村などが支出した退職手当負担金の剰余金を退職手当基金として積み立て、退職手当支払いの資金不足に備えており、基金の半分近くを仕組債で運用していた。損失発生は「奈良の声」の昨年6月15日の記事で表面化し、9月には新聞なども報じた。 資料が配付されたのは、同負担金を支出している市町村などの事務担当者を集めた昨年11月12日の会議。多くの市町村は報道で問題を知り、正式な報告としては同資料が初めてだった。 資料はA4判の紙1枚で、損失について「これまでに積み立ててきた運用収益の中でカバーできる範ちゅう」とし、仕組債売却の理由について「退職者の増加、並びに職員数の減少に伴う負担金収入の減少に伴い、支払い資金の不足に対しては、退職手当基金の取り崩しにより対応し、資金運用の一部として保有していた有価証券について売却した。退職手当支払い資金の確保のため、やむを得ない措置であった」とした。仕組債の運用については、報道で明らかになった範囲の事実関係の説明さえなかった。 一方、今後の基金運用について「地方自治法等諸規定を順守し、適切に運用する」とした。 組合事務局によると、資料に対する質問はなかったという。川上村総務課の担当者は「組合の管理者など執行機関は市町村長のあて職。仕組債の導入は当時の市町村長の誰かが決めたことになり、これが意見が出なかった原因ではないか。しかし、基金は公金であり、元本が保証されるべき。利益を追うのは間違い」とした。 また、別の町の担当者は「この紙1枚で問題を理解するのは難しい」とした。さらに、別の町の担当者も「資料は前触れで、いずれ詳しい説明があるのではないか」としたが、組合事務局は取材に対し「新たな説明の予定はない」としている。 組合が配布した資料の全文「仕組債」の損失報道について
○見解 退職手当支払い資金の確保のため、平成22・23(2010・2011)年度において、退職手当基金の資金運用の一部として保有していた有価証券について売却いたしました。 これに伴い、売却差損が発生したが、これまでに積立ててきた運用収益の中でカバーできる範ちゅうとして売却したところであります。 ○理由 本組合の退職手当支給事務の運営については、旧退職手当組合発足以来、剰余金の効率的な資金運用等により、全国でも最も低い負担金率により運営してまいりました。 このことにより、組合市町村全体が相互に財政的な恩恵を受けていただいたと考えております。 しかしながら、ここ数年間の退職者の増加、並びに職員数の減少に伴う負担金収入の減少に伴い、支払い資金の不足に対しては、退職手当基金の取り崩しにより対応してまいりました。 平成22・23(2010・2011)年度において、退職手当基金の資金運用の一部として保有していた有価証券について売却いたしましたが、これは退職手当支払い資金の確保のために売却したものであります。 これに伴い売却差損が一部発生いたしましたが、これは、これまで資金運用してきた退職手当基金全体の収益金の中でカバーできる範ちゅうであると考え、売却したものであります。 退職手当支払い資金の確保のため、止(や)む得ない措置であったと考えております。 ○これからの基金運営について 今後、基金の運用については、地方自治法等諸規定を遵守し、適切に運用することといたします。 |
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