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奈良県・平城宮跡整備の検討資料、情報公開どうなっている
奈良県奈良市の平城宮跡(特別史跡)の草地を舗装する国土交通省の計画の是非をめぐる論議。住民らが計画について検証したり、意見を持ったりするには情報公開が欠かせない。一連の宮跡整備の最大の根拠とされる1978年の平城遺跡博物館基本構想資料をはじめ、さまざまな整備検討資料はどのように開示されているのか取材した。
平城遺跡博物館基本構想資料は、編集が奈良文化財研究所、発行が文化庁。100ページに及ぶ資料は書籍の形にしてある。宮跡ではこれまでに朱雀門や第一次大極殿、東院庭園などの宮殿建物が復元されたが、こうした整備は同資料がよりどころになっている。閲覧なら、平城宮跡の発掘調査を担当している奈良市二条町2丁目の同研究所図書資料室でできる。 同資料は同図書資料室で複写も可能だが、著作権法に基づき2分の1までと制限がある。全ページ分の写しを入手できなければ、情報公開としては不十分だ。しかし、書籍は通常、情報公開制度の開示請求の対象にならない。発行者の文化庁に問い合わせた。同庁記念物課は「基本構想資料は販売を目的に発行した書籍ではない。行政文書として開示請求できる」と回答した。 奈文研が業者に委託するなどして、95・96年度と2003年度にまとめた平城宮跡の利用実態報告書がある。国交省や奈良県が平城宮跡の国営公園化を検討した報告書にも引用されている資料だ。同研究所図書資料室で閲覧できるが、やはり複写は2分の1までと制限がある。同研究所に問い合わせた。同研究所連携推進課は「基本的には図書室の閲覧で対応していた」というが、全部の複写であれば「図書登録したものではなく、行政がまとめた資料として開示請求に対応する」とした。 国営公園化に当たり文化庁が基本方針としてまとめた特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画(08年)は国交省国営飛鳥歴史公園事務所のホームページで、国交省の「史跡を活用した国営公園の整備検討業務報告書」(同年)は同省のホームページで、それぞれ公開されている。 奈良県が独自にまとめた「平城宮跡の国営公園化に向けての検討業務報告書」(同年)は、記者が実際に県に開示請求した。一部非開示があるものの開示された。 国営飛鳥歴史公園事務所の平城宮跡歴史公園環境モニタリング業務報告書も、記者が実際に同省近畿地方整備局に開示請求した。一部非開示があるものの開示された。モニタリングは、宮跡の野鳥や植物、ツバメの集団ねぐら、奈良県版レッドリスト希少種のカヤネズミなどの保全を目的に07年度から毎年実施されている。 このほか、いずれも国交省が策定したものだが、公園整備の骨格となる国営平城宮跡歴史公園基本計画(08年)や、その柱となる第一次大極殿院建造物復原整備計画(11年)は、国営飛鳥歴史公園事務所のホームページで公開されている。 |
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