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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)生駒市北部スポーツセンター、住宅地立地で住民、影響心配 企業厚生施設からの転換、利用増見込まれ

生駒市が購入したサンヨースポーツセンター

生駒市が購入したサンヨースポーツセンター。市北部スポーツセンターとして市民に開放される=2014年11月、同市高山町

署名を提出する獅子ケ丘自治会の役員

生駒市に市北部スポーツセンターの整備工事を実施しないよう求める署名を提出する獅子ケ丘自治会の役員(右)=2014年10月17日、市役所

 生駒市は、企業の福利厚生施設だった同市高山町の体育施設を購入した。市北部スポーツセンターとして市民に開放する。一方、周辺住民は、施設の立地が住宅地の奥の一角であることから、住環境への影響を心配する。社員などに限られていたときと違って利用者は大幅増が見込まれ、それに伴い交通量も増えるためだ。利用時間の拡大や夜間照明装置の設置も予定されている。

 地元自治会は市に対し、懸念が払拭(ふっしょく)されていないとして、自治会が同意できるまで整備工事を実施しないよう求める署名を提出した。

 施設は2014年3月、三洋電機連合健康保険組合などから、約2億円で購入したサンヨースポーツセンター。広さ約6万5000平方メートルで、体育館、野球場、競技場、テニスコート、クラブハウス、宿泊棟、研修棟などがある。

 住宅地「獅子ケ丘ハイマート」(153世帯)の奥の一角に立地し、幹線道路からの進入路は住宅地と同じ。獅子ケ丘自治会(常石邦会長)によると、開設は1972年ごろ、住宅地の開発と同時期という。周りは緑地で、市中心部から北に約8キロ離れた郊外に位置している。

 施設購入は市北部スポーツタウン構想の実現が目的で、市は購入前の13年8月、自治会に対し説明会を開いた。山下真市長が計画を説明したという。利用開始は15年2月の予定で、体育館などから徐々に開放する。運営は、市が提案型公募方式で指定管理者に選んだ民間業者が当たる。

 市施設への転換で、利用時間はサンヨー時代に午前9時~午後6時だったのが午前9時~午後9時へと拡大される。これに伴い、多目的グラウンド(元競技場)に夜間照明装置が設置される。以前はなかった駐車場も、200台前後の規模で施設内に整備される。

 また、指定管理者による自主事業として、地元プロスポーツチームとの連携によるスポーツ教室・大会などの実施が考えられている。

 自治会によると、サンヨー時代の利用者数は年間約7000人だったが、市は年間約6万人の利用者を見込む。

 自治会が13年10月や14年7月に市に提出した要望書などによると、住民が心配するのは、交通量の増加に伴う事故や人の往来が増すことによる防犯上の問題、ごみのポイ捨て、さらに拡声器や歓声による騒音、夜間照明による光の害など。自治会は、交通対策や利用時間の縮小、夜間照明の中止、拡声器の規制などを求めた。

 市の回答は、迷惑駐車や速度の抑制については指定管理者を通じて周知徹底を図り、夜間照明については収束性の高いものを予定しているとした。拡声器については生活環境に配慮しながら使用は認められるなどとした。

 自治会では住環境面への懸念に加え、汚水管理費や環境保全費の負担増の問題も浮上している。

 同住宅地のし尿や生活排水の処理は、公共下水ではなく自治会が管理する共同の集中浄化槽で行っている。サンヨーも利用していた。これに対し、市は集中浄化槽を利用せず、スポーツセンター単独の浄化槽を新設することにしている。

 集中浄化槽の管理費は各世帯で均等に負担しているが、サンヨーの負担額は別で特に大きかったため、市がこれを継承しないことで各世帯の負担増が予想される。自治会は市に対し、引き続き、集中浄化槽を利用するよう求めたが、市は老朽化や容量を理由に拒否したという。

 通学路の草刈りなどに充てる環境保全費も、サンヨーは自治会の法人の賛助会員として特に大きな額を負担していた。

 これについても自治会は市に負担を求めているが、市は、市が自治会の賛助会員になることは考えられず、体育施設を含め市の公共施設が所在する自治会に対し、市がそのような支出をしている例はないとした。

 署名は14年10月17日、市に提出された。自治会住民349人のうち316人が名を連ねた。自治会の井上光祥副会長は「スポーツセンターに反対とは言っていないが、要望に対する市の返事はゼロ回答に近く、このままでは反対運動にならざるを得ない」としている。

 中田和也・市スポーツ振興課長は「これまでの折衝で理解いただいているものと思っていたので、署名提出は残念。要望に対しできるものはやるが、できないものはできない。来年2月のオープンに向け、これまでの回答に沿った形で進めていきたい」としている。

 市は自治会への説明で、同スポーツセンターの地元住民にとっての価値として、避難所の確保や住民の健康増進、交流人口の増加による地域活性化、放置による施設の荒廃の回避などを挙げている。【続報へ】

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