奈良県)奈良市、地方創生交付金の商品券 プレミアムの一部ポイントに置き換え 市制度の普及狙い
国が地方創生を目的に全国の都道府県、市町村を対象に実施する総額4200億円の交付金で、奈良市はプレミアム付き商品券の発行を予定しているが、プレミアム部分(販売価格に加えて増額されるおまけの部分)について、一部を市ポイント制度のポイントに置き換えて設定する方針であることが、市への取材で分かった。
同制度は、高齢者が市の長寿健康事業に参加したり、市民が市のボランティア事業に参加したりしたとき、買い物などで使えるポイントを付与するもので、先月、運用が始まった。こうした制度は県内では初めてといい、市は商品券発行の機会をとらえて、制度の普及を狙う。通常のプレミアムからポイントへの置き換えによって、商品券の使い勝手が悪くならないことが求められそう。
市商工労政課によると、奈良市への交付金のうち、商品券の発行に充てる地域消費喚起・生活支援型の額は5億700万円になる見込み。プレミアム部分と商品券印刷の費用になる。市の案では商品券は2種類あり、子育て世帯向けに限定した1万2000円相当(プレミアム部分の額が子供の数で変動)10万冊と、限定のない一般向けの1万3000円相当(販売価格1万円)3万冊を発行する。
このうちポイントを取り入れるのは一般向けの商品券。プレミアム部分3000円のうち1000円分をポイントに置き換え、1000ポイントとする。
市ポイント制度では、1ポイントを1円として、市の特産品との交換や、奈良交通バスのICカード乗車券「CI-CA」の1000円分チャージ(積み増し)券の取得、市内の制度加盟店での割引サービス利用ができる。ポイントをためるには、市の高齢者対象の長寿健康事業に参加したり、市民対象のボランティア事業に参加したりする。1回当たり20または50ポイントが付与される。加盟店で買い物をしてもポイントが付く。
得たポイントの記録や使用には、70歳以上の市民は市が交付するICカードバス優待乗車証(約5万枚発行)、69歳以下は交通機関のICカード乗車券を利用できる仕組みになっている。加盟店が設置するカードリーダーの費用約4000円は市が負担している。
商品券のポイント部分が使えるのは、ポイント制度の加盟店に限られる。市協働推進課によると、現在、交換できる特産品は11種類(500~2000円)、買い物ができる制度加盟店は33件で、ポイントを利用できる範囲はまだ限定的。一方、ボランティアポイント事業の参加市民も約100人にとどまっている。同課は加盟店を増やすため、市商店街振興会に協力を求めているとした。
市商工労政課は「消費喚起とともに、ポイント制度の普及、加盟店の拡大を図りたい」とした。商品券の発行時期は子育て世帯向けがことし夏、一般向けが秋から冬にかけての予定という。商品券参加店は公募する。【続報へ】