御所市議会、庁舎内禁煙の決まり守られず 県調査では「禁煙」と公表、実態伴わず
御所市役所の庁舎玄関ガラスに掲示された、庁舎内禁煙の表示=2016年3月14日、同市
奈良県御所市議会で庁舎内禁煙の決まりが守られていないことが、「奈良の声」の調べで分かった。議員が議会の休憩中などに利用する、応接室での喫煙が常態化している。県が県内39市町村からの聞き取りに基づいて公表している、庁舎の禁煙実施状況では、同市議会は禁煙となっている。実態が伴っていなかった。取材に対し、議長は「甘えがあった」と喫煙を認め、庁舎を管理する市は「あらためて禁煙を要請する」とした。
市議会は市役所3階の一角にあり、議場のほか、議会事務局、正副議長室、議員控え室、そして議員が喫煙をしている応接室がある。
記者は3月9、11日、開会中の3月定例会を傍聴した。いずれも午前10時の開会直前まで議員が控えていた応接室の前を通ると、周囲にたばこの煙の臭いが立ち込めていた。開いた扉の向こうには、テーブルの上の灰皿も見えた。
議場の傍聴席入り口は応接室の横にあり、傍聴者は受動喫煙の被害に遭う恐れがある。喫煙しない職員や議員の受動喫煙も避けられない。
市管財課によると、庁舎内禁煙は2005年から実施。喫煙する職員や来庁者には、屋外に設けた喫煙所を利用してもらうことにしている。議会事務局前の廊下沿いのベランダにも灰皿が置いてある。
議長「甘えあった。解決必要、話し合う」
丸山和豪議長によると、議員控え室が狭いため、禁煙が実施される前は、喫煙しない議員の意見を受けて、分煙を実施。喫煙する議員は庁舎内の小さな印刷室を利用していた。しかし、これだと議員間の交流が図れないとして、喫煙しない議員から、広めで窓もある応接室なら喫煙も構わないとの声が出たという。喫煙する議員も、喫煙しない議員も応接室に集まるようになったという。現在、喫煙する議員は15人のうち8人という。
同議長は「こうした経緯もあって、庁舎内禁煙実施後もその習慣が残った」と釈明。「議員だから吸えるという考えはない。甘えの部分があった」と述べ、「遅れているのは確かで、解決が必要。議会で話し合う」と明言した。
県健康づくり推進課は官公庁での受動喫煙防止を図るため、2011年から毎年4月に市町村庁舎の禁煙実施状況を調査、県のホームページに掲載するなどしている。調査では、本庁舎、議会棟、公用車に分け、出先の保健所を通じて、市町村の庁舎管理担当課から聞き取りしているという。御所市は議会について、いずれの年も「禁煙」と回答していた。
市管財課は「議員も喫煙所で喫煙していると思っていた。議会事務局を通してあらためて議員に庁舎内禁煙をお願いする」としている。また、県健康づくり推進課は「決まりはどなたでも守らなければならない。『灰皿はありません』という毅然とした対応も大事。保健所を通じて助言するなど、市管財課と共に禁煙の徹底を図っていく」としている。
2015年4月の市町村庁舎禁煙実施状況調査では、御所市を含む32市町村議会が禁煙、6市町議会が分煙、大和郡山市議会が対策なし、となっている。【続報へ】