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浅野善一

大和郡山・箱本館、コロナ影響対策で入館料無料化 入館者数前年上回る効果受け恒久的に 市、条例改正案を議会に提出

入館料無料化の条例改正案が12月市議会に提出された箱本館「紺屋」=2020年12月3日、奈良県大和郡山市紺屋町

入館料無料化の条例改正案が12月市議会に提出された箱本館「紺屋」=2020年12月3日、奈良県大和郡山市紺屋町

箱本館「紺屋」の展示風景=同

箱本館「紺屋」の展示風景=同

ことし7月の入館料無料化とともに充実が図られた金魚が泳ぐ水槽の展示=同

ことし7月の入館料無料化とともに充実が図られた金魚が泳ぐ水槽の展示=同

 奈良県大和郡山市が、同市紺屋町の市観光施設、箱本館「紺屋」の入館者数が新型コロナウイルスの影響で落ち込んだことを受けて、対策としてことし7月から入館料を無料にする減免を行ったところ、入館者数が前年を大幅に上回るなどの効果が出ていることが、市への取材で分かった。

 市はこれを受けて、今後も恒久的に入館料を無料とするため、入館料そのものを有料から無料に改める条例改正案を、3日開会した市議会12月定例会に提出した。

 紺屋町は、藍染めに携わる人たちが集まる城下町大和郡山の職人町だった。同施設は、江戸時代中期の藍染め商の町家を修復したもので、藍染めの道具や市特産の金魚をあしらった美術工芸品などを展示、藍染めも体験できる。2000年に開館した。入館料は、市箱本館「紺屋」条例で大人300円、小中学生100円と定められている。

 市地域振興課によると、2月、3月は市中心部商店街でのひな祭り行事に合わせて入館料を無料にしていることから、入館者数は多いが、ことしは前年と比べると、2月で924人減の2148人、3月で2176人減の1118人だった。国の緊急事態宣言が発出されるなどした4、5月は休館、再開後の6月はわずか16人だった。

 市は入館者を呼び戻そうと、条例の減免規定に基づいて、7月1日から入館料を無料にするとともに、同月21日から施設の一部を一新、コーヒーが飲める喫茶コーナーを設けたり、金魚が泳ぐ水槽の展示を充実させるなどした。こうした対策の効果が表れて、8月以降のひと月当たりの入館者数はおおむね1000人を超え、前年と比べても3~4倍の大幅増となった。直近の11月は1093人(前年325人)だった。

 条例改正では入館料を無料と定め、これに伴い減免規程は削除する。施行日は来年4月1日だが、入館料無料の減免はそれまで継続する。

 植田早祐美・同課観光戦略室長は無料化の狙いについて「コロナの影響で観光客は減っている。皆さんに大和郡山の魅力を知ってもらうため、入館してもらいやすい方法を考えた」と説明する。無料化で入館料収入はなくなるが、「施設内で土産物やコーヒーを販売しており、多くの人に来てもらうことで売り上げ増が期待できる」とする。同施設の指定管理者、市観光協会も「前年度に比べ、売り上げは伸びている」と話している。 関連記事へ

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