ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

Loading

発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

奈良県市町村組合、住民訴訟の弁護士成功報酬で1512万円予算計上 着手金では監査委員が高額指摘

 奈良県市町村総合事務組合(管理者、東川裕・御所市長)は、組合の20億円の基金損失をめぐる住民訴訟で組合が依頼した弁護士の成功報酬について、2015年度予算に1512万円を計上した。同予算は25日、組合議会定例会で可決された。組合監査委員は同報酬支払いについて、組合に過大な負担が生じないよう弁護士と交渉を行うべきと求めていた。組合によると、弁護士からは1800万円の請求があるという。

 同訴訟の組合の弁護士費用をめぐっては、着手金が735万円に上ったことから、記者が昨年9月、住民監査請求を行った。

 同請求では、現在進行中の奈良市の住民訴訟の着手金が90万円余りであることを挙げるなどして、住民訴訟の場合、着手金算定の根拠となる経済的利益は算定不能と考えるべきと主張した。また、訴訟の審理も期間にして約1年、弁護士の出廷回数は8回、提出した主張書面は答弁書と準備書面3通に過ぎなかったと指摘。損害賠償請求などの措置を講じるよう勧告することを求めた。

 監査委員は11月、請求については棄却したが、付記した意見で、着手金の額について「違法とすべき事由は見当たらないが、かなり高額との印象は否定できない。弁護士との成功報酬支払いの協議では慎重な交渉を行うべき」と組合に求めた。

 組合は、予算に計上した1512万円の根拠について「成功報酬は着手金の2倍が相場」とした。前提となる着手金の額は、監査委員が「かなり高額との印象」とした735万円。弁護士に対しては、監査委員の意見を伝え、請求額の1800万円の支払いは困難であると説明しているとした。

 同住民訴訟は記者が取材、記事化した事実に基づいて提起した。組合が、退職手当基金の運用で投機性が指摘されている仕組債を購入、20億6590万円の損失が生じたことに対し、組合が当時の管理者らへの損害賠償請求を怠っていることは違法との確認を求めた。奈良地裁は昨年5月、訴えを却下または棄却した。

奈良県市町村総合事務組合 都道府県や市町村が事務の一部を共同処理するために設ける一部事務組合。橿原市大久保町の県市町村会館に事務局がある。事務の中心は、県内の2市27町村と20の一部事務組合が参加する退職手当支給事務。これらの市町村、一部事務組合は財源となる負担金を毎年度、納めている。負担金収入が支給額を上回った年度は、黒字分を退職手当基金として積み立て、財源が不足したときに備えている。一部事務組合は、都道府県や市町村などの普通地方公共団体に対し、特別地方公共団体と呼ばれる。

読者の声

comments powered by Disqus