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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

奈良県市町村組合の住民訴訟弁護士報酬 監査委員「不当に高額」指摘、金額の再交渉勧告

 奈良県市町村総合事務組合(管理者、東川裕・御所市長)が20億円の基金損失をめぐる住民訴訟で勝訴したことを受けて、訴訟代理人を委託した弁護士の成功報酬として2015年度予算に1512万円を計上したことに対し、記者が報酬は不当に高額であるとして、予算を執行しないよう東川管理者に勧告することを求めた住民監査請求について、同組合監査委員は8日付で、東川管理者に弁護士と金額の再交渉を行うよう勧告するとの監査結果を公表した。

 住民訴訟において、被告となる地方公共団体側の弁護士費用が高額化すれば、住民が訴訟をためらったり、公費の支出増を理由に訴訟が敵視されたりする事態を招きかねない。監視が必要と言えそうだ。

 弁護士の着手金や成功報酬は、裁判で確保しようとする経済的利益の額を基に算定される。同訴訟では、住民側が20億円の損害賠償を求めたことから、組合の弁護士は同請求額を経済的利益の額として算定、組合に請求した。組合は昨年3月、弁護士に着手金735万円を支払った。これに対し、記者は不当に高額であるとして、同年9月、損害賠償請求などの措置を講じるよう勧告することを求めた住民監査請求を行った。

 同監査請求で記者は、現在進行中の奈良市の住民訴訟の着手金が90万円余りであることを挙げるなどして、地方公共団体が損害回復を図ることで住民全体が利益を受ける住民訴訟の場合、着手金算定の根拠となる経済的利益は算定不能と考えるべきと主張した。また、弁護士の労力の点においても、訴訟の審理は期間にして約1年、弁護士の出廷回数は8回、提出した主張書面は答弁書と準備書面3通に過ぎなかったと指摘した。

 監査委員は同年11月、請求については棄却したが、付記した意見で、着手金の額について「違法とすべき事由は見当たらないが、かなり高額との印象は否定できない。弁護士との成功報酬支払いの協議では慎重な交渉を行うべき」と組合に求めた。しかし、組合は「成功報酬は着手金の2倍が相場」として、弁護士からの請求額1800万円は下回ったものの、1512万円を予算計上した。このため、記者は成功報酬についても住民監査請求を行った。

 今回の監査結果で監査委員は、「組合に過大な負担が生じないよう慎重な交渉を行うべきと求めたにもかかわらず、かなり高額との印象を持っている着手金の2倍に相当する成功報酬について、(組合から)合理的な説明を得られなかった」と述べ、「違法とまでは言えないものの不当に高額であるとの印象は否めない。本件予算を執行するに当たっては財務会計上注意が必要」と指摘、弁護士との再交渉を勧告した。

 地方自治法は、勧告を受けた長は勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならないとし、監査委員は通知事項を請求人に通知し、公表しなければならないとしている。ただ、勧告に強制力はない。今回の勧告では、期間は示されなかった。【続報へ】

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